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“ツインデミック”に懸念 インフルで季節外れの「学年閉鎖」

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 東京都内の公立小学校で、およそ2年3カ月ぶりとなるインフルエンザによる「学年閉鎖」です。新型コロナの流行以降、インフルエンザの感染者数は激減していましたが、今後、海外からの観光客が増えるなか、感染の拡大に懸念が広がっています。

 不思議なのはなぜ今、ということ。

 学年閉鎖していたのは、東京・立川市の小学校です。3年生の2つのクラスの児童が発熱やせきなどの症状を訴え検査をしたところ、45人中14人がインフルエンザ陽性だったということです。

 近くに住む、小さな子どもを持つ親は…。

 小学校に通う子を持つ女性:「近くの小学校が2日間、学年閉鎖と聞いたので気を付けています」

 幼稚園に通う子を持つ女性:「えー、インフルエンザのこと最近考えていなかった」

 さらに、23日に開かれた東京都のモニタリング会議でも。

 東京都・小池百合子知事:「秋・冬のインフルエンザと新型コロナの同時流行、ツインデミックというんでしょうか」

 コロナとインフルエンザ、同時流行の懸念に教育現場からは困惑の声が上がっています。

 季節外れのインフルエンザに医療現場は。

 大森町駅前内科小児科クリニック・柳澤亮院長:「少し驚きました。医師の頭の中で、夏の発熱患者は診察した時に、真っ先にインフルエンザを疑うことは通常はないんですけど、そういった可能性もなくはないということを考える必要がある」

 柳澤院長によると通常、夏はインフルエンザの検査はしないといいます。なぜ、今回発見できたのでしょうか。

 学校などによると、当初はコロナを疑いPCR検査をしましたが、陰性だったといいます。熱が38度から39度と高かったことから、念のため医師がインフルエンザの検査をしたところ陽性に…。

 学校では、体育の授業以外ではマスクをさせていたといいます。

 インフルエンザ、コロナが流行する前は学年閉鎖が7000件を超えるシーズンもありましたが、コロナ禍になってからは学年閉鎖はほとんど発生していませんでした。それがここにきて…。

 小学校に通う子を持つ女性:「学校休まれてしまうのも困るので、子どもたちにとっても負担が大きいのかな」

 東京・品川区にある私立中学校では…。

 青稜中学校・高等学校、青田泰明校長:「授業中はマスクを着けて頂く。また、教員も一人ひとり、スピーカーを持っていて、大きな声を出さなくても、声がスピーカーから遠くまで通るような工夫はしています」

 新型コロナ対策と熱中症対策、それに加えてインフルエンザの対策までしなければならない現状に、校長は。

 青稜中学校・高等学校、青田泰明校長:「コロナ・インフルエンザどちらの対策もしっかりしなければいけない。でも、その一方で熱中症もある。そこが非常に不安であるし、悩ましいところではあります」

 梅雨明け前に、この暑さ。23日、西日本では最高気温が30度を超える所が続出。さらに新型コロナの感染者も、また増え始めています。

 青稜中学校・高等学校、青田泰明校長:「学年閉鎖が断続的に起きたり、万が一、コロナとインフルエンザがどちらもはやって、学校に子どもたちが来れないとなったらオンライン授業に切り替えるとか、コロナ禍で培った我々のノウハウがインフルエンザ対策にも効く部分は間違いなくあります」

 インフルエンザに関しては、今月8日の厚生労働省のアドバイザリーボード会議で今シーズンは例年よりも早く、夏にも流行する危険を指摘されていました。

 今回、夏を前にインフルエンザが発生したことに、東京都は。

 東京iCDC専門家ボード・賀来満夫座長:「オーストラリアでの例を踏まえますと、日本でも今年、インフルエンザが流行する可能性がございます。都においても、新型コロナウイルスとの同時流行にも対応できるよう準備を進めていくことが大変重要であると考えます」

 一方、南半球のオーストラリア、これから本格的な冬を迎えるこの国の状況は、半年後の日本なのかもしれません。

 街の人:「1週間前にインフルエンザにかかったばかりです。友達もたくさんかかりました。家族も全員です。1人ずつかかって、次々と倒れました」

 オーストラリア保健省のデータでは新型コロナの流行以降、インフルエンザの感染者数は激減。しかし今年は、4月の末ごろから急増しています。

 新型コロナの感染者数は依然として3万人を超える状況ですが、インフルエンザも同時にはやりつつあります。

 さくらファミリークリニック・吉田まゆみ医師:「インフルエンザA型が95%くらい。重症化しやすいと言われるタイプのインフルエンザがとてもはやっています。風邪の症状で来られる人の3分の1がコロナウイルスにかかっていて、3分の1がインフルエンザA型、残りの3分の1が他の風邪」

 こう話すのは、現地の日本人向けクリニックで診療にあたっている吉田まゆみ医師です。

 クリニックには高熱を訴える問い合わせが増えていました。

 さくらファミリークリニック・吉田まゆみ医師:「きょうはどうしましたか?」

 患者:「きのうの夜から高熱が出てまして、鼻水とか喉の痛みの症状が出ています」

 さくらファミリークリニック・吉田まゆみ医師:「熱はどれくらいまで高くなったかな?」

 患者:「39度くらいまで出ましたね」

 さくらファミリークリニック・吉田まゆみ医師:「コロナの検査はしましたか?」

 患者:「RATテスト(抗原検査)は自分でしたんですけど、それは陰性でした」

 さくらファミリークリニック・吉田まゆみ医師:「分かりました。今いろいろ風邪のウイルスがはやっているから、もしかしたらインフルエンザとかかもしれないし」

 このクリニックでは、コロナやインフルエンザなど8種類のウイルス感染を一度に調べられるPCR検査で診断を行っています。

 気になるのは、コロナとインフルエンザとの同時感染です。吉田医師は、若年層に注意を払う必要があると話します。

 さくらファミリークリニック・吉田まゆみ医師:「今、オーストラリアでメインでかかっているのが子ども、10代、20代の若者たち。そういう方が両方かかってしまうことはあるかと思います。人混みの中に行ったりというのが若者たちの方が多いので」

 その対策として重要なのは、やはりワクチンです。

 さくらファミリークリニック・吉田まゆみ医師:「ダブルで打っていますね、オーストラリア。(コロナとインフルエンザ)同時接種しています。すでに」

 オーストラリア政府は冬の到来に備えて、コロナとインフルエンザ両方のワクチン接種を無償化、さらに奨励するキャンペーンを始めています。

 吉田医師は、日本でも早めの準備が必要と警鐘を鳴らします。

 さくらファミリークリニック・吉田まゆみ医師:「今、オーストラリアではインフルエンザとコロナの同時流行になっている。半年後、日本でもそういうことが起きる可能性は非常に高いので、前もって準備というか、ウイルスに対して免疫を付けておくためにインフルエンザのワクチン接種を考えて頂ければと思います」

 オーストラリアで起きている、季節を前倒ししたインフルエンザの大流行。そして日本でも、小学校が“季節外れの学年閉鎖”となっています。

 今、世界で何が起きているのでしょうか。専門家に話を聞きました。

 順天堂大学大学院・堀賢教授:「(Q.なぜオーストラリアでインフルエンザが前倒しで流行?)(理由は)2つあると言われている。1つは過去2年間、大きなインフルエンザの流行がなかったので、基礎免疫が落ちているというのがあります。従ってインフルエンザに対する抵抗力が落ちているために、普段よりも早いスピードで広まっている。もう一つは、コロナ対策が緩和してマスクを外すというのが一般的になってきたので流行し始めたというふうに考えている」

 実は、オーストラリアで流行した条件が日本にも当てはまっているのです。

 順天堂大学大学院・堀賢教授:「日本もオーストラリアと同じように過去2年間、インフルエンザの流行らしいものが起きていないので、インフルエンザに対する基礎免疫が落ちている状況。しかも、これからマスクの着用が緩和されていくと、飛沫(ひまつ)感染であるインフルエンザは流行しやすくなるという状況が整ってきます」

 では、日本で真夏にインフルエンザが大流行することはあり得るのでしょうか。

 順天堂大学大学院・堀賢教授:「まさかこの時期にインフルエンザじゃないだろうと思っている人もいると思う。そういう時に油断してかかってしまうということが起きると思う。ひとたび感染の連鎖が始まると、予想より早く広まってしまうということは十分あると思う。ただ、気候がインフルエンザが流行しやすいという(冬のような)乾燥した状況ではないですので、流行したとしても局所的に持ち込まれた地域に流行するだけ」

 真夏のインフルエンザは局地的なものにとどまったとしても、この先、新型コロナと同時に流行した場合、新たな懸念も出てくるといいます。

 順天堂大学大学院・堀賢教授:「例えば発熱外来に発熱のある患者さんが来た場合に、コロナで発熱しているのか、インフルエンザで発熱しているのか分からないので、両方の検査をして、今までより外来の時間が倍くらいかかる。コロナによる入院患者のほかに、インフルエンザによって基礎疾患が悪化した人の入院も増えるでしょうから、医療体制が逼迫(ひっぱく)する可能性は十分にあるかなと思います」



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