今、ある感染症の拡大が止まりません。青色が去年の感染者数ですが、今年は爆発的に増えているのが分かります。医療現場の最前線を取材しました。
■“リンゴ病”なぜ流行?症状は?
院長 「ほっぺ赤いよね、明らかに」
クリニックに駆け込んだ9歳の女の子。
院長 「ほっぺたもこの境界があって、境界がある赤み。しかも両側だもんね」
頬が赤く染まり、両腕も赤くなっています。
院長 「この腕の網目状の赤みね。典型的なのでこれリンゴ病ですね」
主に子どもが感染する「伝染性紅斑」。いわゆるリンゴ病です。
赤い発疹の他に発熱やせきなど、かぜに似た症状も出ます。
今、首都圏を中心に爆発的に広がっています。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長 「すごい増え方をしているのが驚き」
国立感染症研究所によると、リンゴ病は5月ごろから全国で増え始め、冬になって急増。
最新のデータでは、1週間の平均患者数が1医療機関あたり0.89人。前の週のおよそ1.7倍に上っています。
院長 「きのうからほっぺたが赤い?」 母親 「きのうからです」 院長 「保育園ではリンゴ病が流行していると」
クリニックでも患者の数は先月に比べて2.5倍に増えています。
伊藤博道院長 「我々がリンゴ病と気付いた時にはすでに強い感染力は弱まっている」 「(Q.気付いた時には感染が広がっている?)そうなんですよね。気付いた時には広がっている」
■5年に1度?妊婦は特に注意
こうしたリンゴ病の流行は5、6年おきに起きているといいます。
伊藤博道院長 「(Q.なぜ(流行が)5、6年周期?)なんででしょうね」 「リンゴ病の場合、一度感染したらかなり強い免疫を持つ。ある程度はやった後、多くの子どもが免疫力を持っているので、はやらない。5年6年経って免疫力を持っていない子どもがある意味たまってくる。いったん火が付くと(感染が)広がるということだと思う」
子どものころに感染すれば免疫ができますが、大人になっても油断はできません。特に妊娠している人は注意が必要です。
伊藤博道院長 「感染してから時間が経って免疫力が落ちている場合、何らかの薬で免疫を抑えている場合、時々大人の感染もあるのが事実。重度の貧血に陥ったり、特に妊娠初期の場合は(胎内で)重度の貧血からむくんで、場合によっては流産、死産になる可能性もゼロではない」
妊婦が初めてリンゴ病にかかった場合、6%が流産や死産になったというデータも。
どのように予防すればいいのでしょうか。
伊藤博道院長 「外から帰ってきたら、うがい、手洗いをする。せっけんを使ってきれいに洗ってください。(リンゴ病のウイルスは)アルコール消毒はほとんど効かない。ウルトラCの感染予防策はない。基本的な感染予防策をきちんとやる」