14日は強烈な寒気の影響で、大雪警報が出た場所もあれば、九州では、初雪も。そうした中、相次いでいるのが雪による交通トラブルです。雪に慣れているはずの地元ドライバーでも陥る、思わぬ落とし穴とは。(12月14日OA「サタデーステーション」)
■“線状降雪帯”発生 大雪警報も 九州では初雪
サタデーステーションが訪ねたのは、大雪警報が出された長野県北部。
報告・小山颯ディレクター 「歩道なんですが私の膝くらいまで雪が積もっています。車は雪で隠れて見えなくなっています」
長野県信濃町では、6時間降雪量が国内で一番多い、30センチに。
飲食店の従業員 「困るよね。なるべく節約。早く上手に(除雪機を)かければそれに越したことはない」
全国の中でガソリン料金が高い長野県。昨今の燃料高に加え、大雪が生活を圧迫していると言います。 長野市でも、平年と比べ4倍の積雪量に。大雪をもたらしたのは、日本列島に流れ込んだ強烈な寒気。JPCZにより線状降雪帯が発生。西日本にもまとまった雪雲が流れ込みました。 山陰地方でもこの冬一番の積雪に。広島県庄原市では、未明から雪が降り始め、午前2時には銀世界となりました。 14日は、各地で大気の状態が不安定な1日となり、北海道や西日本など145地点で今シーズン一番の冷え込みとなりました。
■スリップ事故 レッカー要請相次ぐ
この時期、車で訪れる観光客の中には、雪道に不慣れなドライバーも多く、思わぬトラブルに巻き込まれるケースも少なくないといいます。 365日、24時間対応でロードサービスを行う会社には、3台が絡むスリップ事故で動けないと救援要請の電話がありました。
尾崎レッカーサービス 尾崎和也社長 「壁に接触した後に右後方をぶつけた?」
救援を要請したドライバー 「1台ここにぶつかった車が止まってて。私が横滑りしだして、右後ろに突っ込んだ」
するとまたすぐに事故の通報が…
Q.次の状況は? 「崖に落ちかけている状況で」
現場へ到着すると、車はフェンスをなぎ倒して路肩部分に斜めになって止まっています。ドライバーは、地元在住で冬の道には慣れていて、しかも時速は30キロ程度だっといいますが…
事故車のドライバー 「氷の上って感じでした。ハンドルが効かなくて。どう動かしても、そのままあっちに行っちゃう。ブレーキも踏むんですけど、全然効かないです。滑っちゃうんですよね」
この車はスタッドレスタイヤを装着していました。 一方で、草津周辺では、ノーマルタイヤのままの車が複数台が絡むスリップ事故も起きています。14日、ノーマルタイヤで訪れる観光客のグループがいました。
ノーマルタイヤで訪れた外国人観光客 「ちょっとやばかった。ゆっくり運転した」
朝の最低気温はマイナス4.6℃。日中を通して氷点下のままでした。
■“雪道の苦難”トラック運送に密着
雪道で心配なのがもう一つ、車の立往生です。食品などを運ぶトラックの運転手青山さん。入社12年目です。
上越運輸上越支店 青山大樹さん 「未だに慣れないですね雪道はやっぱり」
新潟県上越市から長野県の県境までの道のり。一本奥へ入ると景色が一変します。 除雪されていない道を運転するポイントは…
上越運輸上越支店 青山大樹さん 「今日みたいな感じだとタイヤが通った、他の車が通った”わだち”を通ると良いという感じ」
営業所を出て1時間後。スタットレスタイヤを装着していますが、この先も除雪されていない道が続くことからチェーンを巻いたほうが良いと判断しました。
上越運輸上越支店 青山大樹さん 「上り坂を登れなくなったり交通の妨げになることも防止できますし。配達の効率も上がるのでそのために必要なこと」
■スタッドレスでも事故 救急車が“雪道スリップ”患者死亡
スタッドレスタイヤを履いていれば雪道でも安心、という過信は禁物です。 11日、北海道網走市で、心肺停止状態の男性(80代)を搬送中の救急車がスリップ事故を起こしました。現場は下り坂で、アイスバーンの上にシャーベット状の雪が積もった状態だったといいます。スタッドレスタイヤを履いていましたが、時速60キロで走行していたところ、80メートルもスリップ。男性はおよそ8分遅れで病院に到着、その後、死亡が確認されています。
アイスバーンでは、どんな種類のタイヤが効果的なのか、JAFが実験した映像があります。 スタッドレスタイヤで時速40キロの状態から急ブレーキを踏むと、止まるまで約80メートルの距離が必要でした。しかし、チェーンを装着したタイヤだと、スタッドレスタイヤよりも短い距離で停止できました。 一方で、アイスバーンではない雪道では、スタッドレスタイヤが最も短い距離で停止できており、路面状態とタイヤの種類によって止まるまでの距離が変わることに、注意が必要です。