今年の上半期に日本を訪れた外国人の数は2151万人余りと過去最多となりました。一方、訪日客の消費では高額商品の「爆買い」が影をひそめ「体験型」に変化しています。その現場を取材しました。
■インバウンド客数 上半期は過去最多
千葉県君津市では廃校になった学校で、日本の高校生を一日体験できます。この日、高校生体験に挑戦するのはシンガポールの家族5人と、その友人、アメリカ人男性1人の合わせて7人です。
1時間目は国語、書道です。それぞれ好きな漢字を選びます。桜に、花火。アメリカ人のセブさんが書いたのは。
アメリカから参加 ゼブさん 「『焼きそば』って書いたよ。一番好きな日本の食べ物だからね」
今年1月から6月までの上半期で日本を訪れた外国人は、推計2151万8100人で過去最多。4月から先月までの消費額も去年の同じ時期と比べ18%増え、過去最高を記録しました。
そんななか、今こうした“体験型観光”が人気だといいます。
皆が楽しみにしていたのが、給食。給食当番がクラスメイトに配膳します。献立は定番のカレーに揚げパン、牛乳です。
セブさん 「アメリカの給食と比べたら信じられないくらいおいしいよ」
ただ、先生と一緒に食べるのは…。
セブさん 「アメリカで先生と一緒に食べたら気まずいし変な空気になるね」
午後の2時間目は社会、殺陣(たて)です。袴に着替えて刀を振ります。体育の時間は玉入れや障害物競争に挑戦。初めての競技に全員大盛り上がりです。
シンガポールから参加 ワンピンさん 「障害物競走が一番楽しかった。つられたパンを食べる競技はなかった。すべてが初めての経験」
廊下を歩いていると、バケツを持って立っている生徒に遭遇しました。テストでカンニングをした罰という設定だそうです。
掃除の時間では、ハプニングが。なんと、他校の“不良生徒”が乱入してきました。
色々ありましたが、最後は卒業式。1人1人卒業証書をもらい、一日高校生体験は終了です。
シンガポールから参加 父 チンホンさん 「とても良かった。皆楽しんでいた。日本の学校を体験することで新しい価値観を見つけられた」
■訪日消費拡大へ カギ握る「体験型」
今、日本観光は“爆買い”からこうした“体験型”に変わっているといいます。
じゃらんリサーチセンター 松本百加里研究員 「自然アクティビティーであればトレッキングをしながら森林浴をして、自分自身を癒やしたり健康になりたいニーズもある。和歌山や三重の熊野古道のトレッキング。四国のお遍路などもとても人気になっています」
増え続ける訪日観光客の消費意欲の掘り起こしには、付加価値の高い体験型観光の充実も鍵を握りそうです。