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医師が偽造か ハンセン病療養所・長島愛生園での入所者の解剖 同意書には死後の日付が 岡山

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 岡山県瀬戸内市にある、ハンセン病療養所「長島愛生園」で行われていた入所者の解剖。本人が同意したことを示す書類について、本来あるはずのない「死亡後の日付」が記されていたことが園の調査で分かりました。

(長島愛生園/山本典良 園長)
「亡くなった後の人が2日後に願いを書くのは不可能です。ここで明らかな偽造が見つかった」

 長島愛生園では2021年、1931年から56年までに亡くなった入所者1834人分の解剖記録が見つかりました。

 入所者が生前に解剖に同意したことを示す「剖検願」を園が調べたところ、本来あるはずのない「死亡後の日付」が記されたものもありました。

 1948年までの「剖検願」の中から抽出した175件のうち、約2割にあたる39件が「死亡後の日付」でした。

 また、死亡当日の日付は29件、死亡の1週間前から前日までの日付が最も多く、92件でした。

(長島愛生園/山本典良 園長)
「長島愛生園に残っている剖検願はすべて偽造だったと私は考えます。その理由は亡くなる直前、危篤前の患者さんに対して、剖検願は医者の倫理上決して取れなかった、取らなかったということ」

 当時の医師はそのような考えを示すため、あえて死亡後の日付を記したのではないかと長島愛生園の山本典良園長は推察しています。

 国の強制隔離政策の下で行われていたハンセン病療養所での解剖を巡っては、「適切な同意を得ていなかった可能性」が以前から指摘されています。

 1940年、長島愛生園に強制隔離された政石コメさん。わずか半年後に海に身を投げ、自殺しました。

 コメさんの剖検願では、亡くなる1週間前に解剖に同意したことになっていますが、ひ孫の三好真由美さんは疑問を感じています。

(政石コメさんのひ孫/三好真由美さん)
「要するに死んだら研究のために私の体を提供しますよということを願っているんですけど、でも本人はされたくなかったと思うんですよね。自分の存在が家族の邪魔になるかもしれない、ここでの生活が本当につらかったかもしれんし、だから自殺したんだと思うけど、そんな人が解剖願いを出すわけない」

 「同意書が偽造だとすれば、医師の倫理観によるものだ」という山本園長の見解に対し、政石コメさんのひ孫、三好真由美さんは「理由はどうであれ、同意を得ずに解剖が行われたとすれば、本人や残された人たちにとって不本意で残酷な行為であることに変わりはないと思います。そういった心情をないがしろにして、同意書のねつ造を正当化しているように感じられて受け入れがたいものです」と話しています。

 長島愛生園では、こうした記録も含めて要望があれば遺族らに開示するとしています。

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