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前任者から引き継ぎ「深く考えず」“裏金問題”真相は…安倍派“金庫番”の初公判

政治

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自民党派閥の裏金事件で、最初の正式な裁判となる安倍派・会計責任者の初公判が開かれました。

■大筋で認めるも“中抜き”は否定

いまだ残る謎の解明は進むのか。自民党・安倍派の会計責任者、松本淳一郎被告(76)は、公の場で頑なに沈黙を守ってきた“金庫番”です。政治資金パーティーの収入約6億7000万円について、収支報告書に嘘の記載をした罪に問われている、松本被告。法廷に現れると、傍聴席を見渡して席に着き、起訴内容を大筋で認めました。その一方で…。

松本被告 「清和会の口座への入金がされなかったものについては認識はしていません」

派閥に納めず議員側が手元で管理していた分については、関与を否定しました。

■前任者から引き継ぎ「深く考えず」

安倍派の経理を統括する立場だった松本被告。検察側は、松本被告がパーティー券の販売ノルマを議員らに伝える役割を担ったとしたうえで…。

検察側の冒頭陳述 「還付金(キックバック)を、松本被告らが議員の秘書らを通じて現金を渡すなどして交付」

検察側の証拠によると、松本被告はキックバックの仕組みを知らない議員に教える役割も担ったといいます。

松本被告(検察側の証拠から) 「初めての議員の場合は、ノルマを超えた分を現金で戻すことを伝えた。(前任者から)引継ぎを受けたが、これまで大きな問題になっていなかったので深く考えていなかった。今後は法令遵守したい」

検察側は、こうした姿勢を厳しく指摘しました。

検察側の冒頭陳述 「前任者から説明されたとおりにすれば、虚偽の金額を記入することになると認識したが、それが発覚してこなかったことなどから、そのとおりに収支報告書の虚偽記入を継続することとした」

■与党案まとまるも…

政治資金規正法の改正をめぐって、9日にとりあえずの与党案がまとまりました。舞台は国会に移ります。

その与党案、改めて見てみます。

【政策活動費】 政党から議員個人に渡されるお金ですが、使い道を公開する必要がなく“ブラックボックス化”していました。今回の与党案では、お金の使い道を公開するとしていますが、どこまで公開するかは明記されていません。

【政治資金パーティー】 与党案では現在「20万円超」となっているパーティー券購入者の公開基準額を引き下げるとしていますが、金額は提示されていません。

【企業・団体献金】 野党各党が軒並み「禁止や廃止」を打ち出していますが、与党案では一切言及されていません。

■野党と隔たり…岸田総理の本音は

政治部官邸キャップの千々岩森生記者に聞きます。

(Q.与野党で溝は大きいようですが、今後の協議の行方はどうなりそうですか)

千々岩森生記者 「与党案が大筋合意とは言いますが、本当に案と言っていいのか。申し訳ないけど、論評する段階にないというのが正直なところです。例えば『政策活動費』の使い道を収支報告書に記載となっていますが、具体的にどう記載・公開するのか書かれていません。例えば、領収書を添付して詳しく公開するのか、ざっくり『党勢拡大に1000万円』と事実上ブラックボックスに近い形になるのかでは大違いですが、今回の与党案では全く分かりません。ただ、岸田総理の周辺からは『そもそも政策活動費は廃止してもいいかもしれない』『領収書を全て添付して公開するのもやむなし』という声も少し聞こえてきます。今後の与野党協議の次第では急転直下、この点については野党側に歩み寄る可能性も捨てきれないとみています」

(Q.政策活動費について、与野党で合意に至る可能性もあるということですか)

千々岩森生記者 「あくまで一部の合意はあり得るかもしれません。ただ、全体として与野党が折り合える見通しは立っていません。岸田総理は10日夜、官邸を出る際に『再発防止の観点から実効性のある案だ』と今回の与党案を表現しました。実はこの『再発防止』が今回のキーワードで、自民党側が最初から言っているのは『裏金事件の再発を防ぐために法改正しますよ』と。裏を返せば『それ以上は踏み込まない』という防御線にも聞こえます。自民党や官邸を取材すると、絶対に譲れないラインとして、自民党の収入源が削り取られる部分、例えば『政治資金パーティーの禁止』や、『企業・団体献金の禁止』には踏み込みたくないという本音もみえてきます」

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