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靴にナビ装着で地図を見ずに目的地へ!車いす固定を大幅時短…バリアフリー最新技術

社会

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日常のお出かけを手助けする最新技術と、バリアフリー実現に取り組む観光地の取り組みを取材しました。

■「日本一のバリアフリー観光県」目指す三重

三重県・伊勢市の水族館に遊びに来た、視覚障害のある女性と友人の2人組。ここ「伊勢シーパラダイス」では、イルカやアザラシなどに実際に手でさわって楽しむことができます。 イルカにさわった感想を聞くと… (黒田さん)「(イルカの感触は)ゴムのチューブがパンパンに張っているような…」

伊勢志摩地域をはじめ、障害のある人が観光に訪れることが増えているという三重県。民間と一体となり、「日本一のバリアフリー観光県」を目指しています。 (伊勢志摩バリアフリーツアーセンター 野口あゆみさん)「出かけるのを躊躇している障害者の方たちの中には、情報がないと怖いという人もいる」 障害者とともに実際に観光地を歩いたからこそわかる、きめ細やかな情報を発信しています。

さらに三重県では、誰もが楽しめるイベントも盛りだくさん! 鳥羽市内のホテルでは、障害があっても、生涯スポーツを楽しむための卓球=「SSピンポン」の大会に向けた合宿が行われました。 ボールの中に金属の球を入れて、音が鳴る仕組みで、プレーヤーはその音でボールの位置を確認し、ネットの下の隙間を通して打ち合う競技です。 (日本SSピンポン協会 村井正治さん)「全盲の人が主審をしたり副審をしたり、カウンター(点数係)をやったり、できることは何でもやろうと」 今回で3回目の参加となる視覚障害のある雨窪さんは… (雨窪さん)「こういう楽しみがあると、私も全盲なんですけど、生活にハリが出てきましたね。健常者の人たちと一緒になって楽しめます」 (イベントに参加した辻さん)「(SSピンポンを始めて)出歩くことが多くなった。それまではちょっと(家に)こもっていた」

■地図を見ずに目的地へ!靴に装着するナビ

日常のお出かけを手助けする新たな技術も開発されています。 柴崎さんは、45歳の頃から少しずつ視力が低下し、今では、右目はほぼ見えず、左目もうっすら見える程度だといいます。 (柴崎さん)「点字図書館に行きます。」 柴崎さんの靴に装着されているのは、ゴルフボールサイズの機械。その名も「ASHIRASE(あしらせ)」です。 機械はスマホのアプリと連動しており、目的地を登録すると、歩く方向や曲がるタイミングなどを、両足合わせて6カ所のセンサーで足に振動でお知らせしてくれるのです。 点字図書館までのおよそ300mを同行させてもらうと… (柴崎さん)「ちゃんとまっすぐ歩いているので、足の甲が鳴っています」 曲がり角が近づくと… (柴崎さん)「曲がる時は、(曲がる方向の足のセンサーが)一斉に鳴り出します」 目的地に到着すると、両足に振動で伝えてくれます。 (柴崎さん)「白杖を使う動作に集中できるのが一番」 白杖は、ぶつからないよう身を守るための大事なもの。「ASHIRASE」が加わることで、目的地までの道順に関する情報について足に任せることができるのです。 去年120台が販売され、すぐに完売したという「ASHIRASE」。 この「ASHIRASE」を使い、1人で海外旅行にチャレンジした人も。今月、デンマークに2週間旅行に行ってきた、倉垣内さん。 (倉垣内聡美さん)「ASHIRASEが今、直進でナビしてくれてます。右側通行ってちょっと変な感じよね。人に聞かなくても自分で行きたい所に行ける。行ってみたいと思ったら行っていただくと、世界が広がる」

■大幅時短でバスに乗りやすく「車いすワンタッチ固定装置」

車いすを利用する人たちが、行きたい場所に行きやすくなる取り組みも進んでいます。 愛知県豊田市のバス会社は、車いすをバスに固定する時間を大幅に短縮する装置の開発に協力しています。 従来のバスでは、ベルトで固定するのですが、作業はバスの運転士が行い、負担が大きく、かなりの時間がかかります。 (豊栄交通 バス運行課 柴田徳次さん)「(車いすの固定には)5~10分ほどかかることもある。車イスの方が乗ってくる、乗ってこないで遅延することに関しては(運行時間には)一切加味されていない。予測できない」 それは車いすの利用者にとって、心理的な負担にも。 (トヨタ自動車 CV統括部 木村功太郎さん)「車いすでバスに乗る方にも色々と聞いてみると『自分のせいでバスを止めてしまっているのが申し訳ないな』という気持ちになるとのことで、簡単に固定できる装置を作ろうと考えました」

そこで開発されたのが「車いすワンタッチ固定装置」です。 ボタンを押すと床からフック出てきて、車いすの下に取り付けられたアンカーバーにセットする仕組みになっています。 トヨタの実験では、ベルト式の固定時間が2~3分でしたが、ワンタッチ式では30秒と大幅に時間を短縮できたといいます。 豊田市のサポートも得ながら行われた実証実験に参加した運転士は… (豊栄交通 川真田圭さん)「短時間で固定できるので、他に乗り合わせているお客様をお待たせすることもない。運転に集中し、今までのように焦ることもなく運行できました」 (トヨタ自動車 CV統括部 木村功太郎さん)「トヨタ自動車は従来自動車メーカーだが、現在は“Mobility for ALL”,“すべての「行きたい」を叶えていきたい”というスローガンを掲げている。優しい社会づくり、どんな方も自由に移動できるような社会を願って頑張っている」 他の自動車メーカーや車いすメーカーの協力のもと、アンカーバーの規格化も決定。介護車両ではすでに運用が始まっており、公共交通機関での早期実用化も期待されています。

9月22日『サンデーステーション』より

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