香川県でドクターヘリの運用が始まって半年。ドクターヘリによって救急医療がどう変わったか、今後の課題は何かを取材しました。
4月18日、香川県でドクターヘリの運用が始まりました。全国の都道府県で最も遅い運用開始でした。
香川県のドクターヘリは1機で、香川大学付属病院と県立中央病院の2カ所を拠点に、原則として午前8時30分から午後5時30分までの間、患者の搬送などにあたっています。
県によりますと、運用開始から9月末までの出動件数は141件。県は当初、年間243件と見込んでいましたが、それを上回るペースです。小豆島や直島など島しょ部からの要請は80回で、全体の約6割を占めています。
ドクターヘリの運用で救急医療現場がどう変わったかヘリに乗り込む医師に話を聞きました。
(香川県立中央病院救命救急センター/岩本康平 医長)
「(Q.ドクターヘリで助かったケースは?)(香川県の)西の方の交通事故の子どもの患者さんがかなり重傷な状態でしたが、一命をとりとめて意識も戻って元気になってというのもありますし、ヘリの場合は医師が行って応急処置をして、医師の判断で連れて帰るのでかなり時間短縮になる。病院選定というところを省くことができますので」
一方で不安な点もあると言います。
(香川県立中央病院救命救急センター/岩本康平 医長)
「(ドクターヘリは)救急隊が呼ぶことになっていて、救急隊の要請に少しハードルがある。(今は)現場に救急隊が行って、これはまずいから要請するというのがほとんどですが、本来なら救急隊に情報が入った時点で、これは危ないからヘリを呼ぼうという、覚知要請をもう少し増やしたいなと考えている」
岩本医師は、事故や急病の際「消防に119番が入った時点でドクターヘリを要請することでより多くの命を救える」と言います。
香川県はドクターヘリ要請の基準を緩和することや、要請が重なったときに四国の他県や岡山県など隣接する県と連携するなど、ドクターヘリの運用強化を目指したいとしています。