ユネスコの無形文化遺産に今月登録された日本の「伝統的酒造り」ですが、その技術の裏には知られざる“税の番人”の存在がありました
東京・福生市にある「石川酒造」。160年以上の歴史があります。看板の日本酒「多満自慢」は国内だけでなく、海外でも人気があります。
こうした日本の「伝統的酒造り」が今月、ユネスコの無形文化遺産に認定されました。日本のお酒が注目を浴びるなか、世界に認められた技術を支える人たちがいます。
酒蔵に現れた男性。実は、東京国税局の職員です。明治時代は税収のトップになったこともある酒税。“税の番人”である国税局はお酒の発展のため、技術指導もしています。
東京国税局 課税第二部 戎智己鑑定官室長 「もう少し蒸し米の水分絞られて(発酵の)進みを遅くした方がいいのかなと」
戎さんはこの道35年。国税局員でありながら、全国300以上の酒蔵の商品開発などに携わった“お酒造りのプロ”でもあります。
東京国税局 課税第二部 戎智己鑑定官室長 「粒がばらけているのと高温障害の影響で肌白いのがちょっと…」
戎さんは原料や一つひとつの製造工程を五感を用いて確認していきます。気になるのは、やはりその味ですが…。
東京国税局 課税第二部 戎智己鑑定官室長 「さっきよりも酒としてだいぶ仕上がってきたが、まだもろみかなと」
さらなるおいしさを求め、簡単には満足しません。
石川酒造 杜氏 前迫晃一さん 「おいしいお酒を造り出せる、何役も買っているのが鑑定官のお仕事なので、おいしいお酒の裏側には鑑定官がいる」
国税局と酒蔵の“二人三脚”で進められる「伝統的酒造り」。無形文化遺産への認定は「ゴール」ではなく「スタート」だといいます。
東京国税局 課税第二部 戎智己鑑定官室長 「『伝統的酒造り』ということで失われてしまう技術もあるかと思います。そういうことが少しでもなくなるように技術の伝承をサポートしていきたい」