アメリカでは日本酒を造る酒蔵が続々と誕生しています。日本の「伝統的酒造り」がユネスコの無形文化遺産に登録されたことを追い風に「アメリカSAKE」として地元に定着を目指す動きが本格化しています。
首都ワシントンで開かれた日本酒に関するイベント。アメリカで日本酒に関わる多くの関係者が参加しました。
日本の伝統的酒造りがユネスコの無形文化遺産に登録された背景には、世界での日本酒への関心の高まりがあります。
山田重夫駐米大使 「日本だけでなく世界で日本酒を広めてくれている人たちがいなければ、ユネスコ無形文化遺産の登録は実現できなかったでしょう」
アメリカでは近年、日本酒を日本から輸入するだけでなく、アメリカで造るアメリカSAKEが続々と誕生しています。ユネスコの無形文化遺産の登録はアメリカSAKEにとっても追い風だといいます。
北米酒造同業組合 ウェストン小西代表 「SAKEの地位向上と世界的にもっと飲みたいと思われる商品への重要な節目になるでしょう」
Den Sake Brewery 迫義弘さん 「(ユネスコ登録で)もっとプロモートやマーケットしていくことができるのではないか」
アメリカで消費者のアルコール離れが加速するなか、「SAKE」をもっと普及させるにはどうしたらいいのか。関係者が熱い議論を交わしました。
北米酒造同業組合 薄葉純子理事 「アメリカで日本酒はアルコール市場の約0.2%のみ。どうしても『日本食と一緒に』というイメージが強い」
北米酒造同業組合アドバイザー スティーブ・フェックハイマー氏 「きょう多くの議論があったのは、アメリカの消費者に日本酒をどう伝えるのか。日本酒を飲むタイミングをどう理解してもらえるかという点でした」
多くのアメリカ人にとって、SAKEはまだまだ特別な存在。人々のライフスタイルにSAKEをどう溶け込ませるかが鍵になるといいます。
Oishii Sake バジー・スカラーさん 「皆、『SAKE』という名前が気に入っている。“Oishii”は“デリシャス”という意味でしょう?」
Oishii酒造のバジー・スカラーさんは、低アルコールを売りに「SAKE」を様々なカクテルにして飲むことを提案します。
Oishii Sake バジー・スカラーさん 「低アルコールですべて天然素材なので体にも良い。体に良いものを飲んでいるということは、とても重要なことだと思う」
Origami Sakeのマット・ベルさんはSAKEの魅力を伝えるには、まずは販路の拡大が不可欠だと訴え、来年には30の州に販売拠点を設ける計画です。
Origami Sake マット・ベルさん 「(狙いは)日本酒のカテゴリーを広げ、ワインを飲む人にも日本酒を飲んでもらうこと。私たちは各州で人材を採用し、販路を拡大しています」
データコンサルティング会社に務めるジョセフ・セプカさんは、SAKEの楽しみ方を客に伝えられる人を育てることがまずは大事だと指摘します。
データコンサルタント ジョセフ・セプカさん 「アメリカの若い消費者が日本食店でより長く過ごすようになり、SAKEを試飲している。店員がそういう場でSAKEについて語り、興味を持ってもらうことが重要です。それを可能にするのは教育なのです。まず教えることが大事なのです」
北米酒造同業組合のウェストン小西代表は世界中でSAKEが飲まれる日が来ることを願い、抱負をこう語りました。
北米酒造同業組合 ウェストン小西代表 「若い消費者は伝統を大切にしつつも革新的スタイルを求めています。この点で日本酒には利点があります。ただし、『SAKE』の魅力はスマートに伝えなければなりません。『SAKE』が古めかしいもののように思われてしまってはいけないのです。若い世代も楽しめる、新鮮で新しく、革新的な『SAKE』にしなければいけません」