Park KSBアプリに皆さんから寄せられた疑問をもとにお伝えする「みんなのハテナ」です。今回のテーマは「お月見」です。
「お月見の由来を知りたい」(倉敷市 キラリ 50歳)
年中行事や郷土食などを研究している中京大学の小早川道子准教授に聞いてみました。
(中京大学/小早川道子 准教授)
「お月見は中国の唐の時代に上流階級で月を見るというのが流行して、それが平安時代、9世紀の後半くらいに日本の貴族社会に伝わったと考えられています」
ちなみに「お月見」と言えば団子を置いて……という絵をイメージする方も多いと思いますが、この由来は?
(中京大学/小早川道子 准教授)
「上流階級では詩歌や音楽を楽しみながら宴会をしていましたが、一般庶民の間ではサトイモが主食だったためサトイモの収穫祭がこの時季に行われていたそうです。貴族がやっている月を見るという行事と庶民の収穫祭が混ざってきて、それで今のようなお月見の行事になったんじゃないかと考えられています」
小早川さんによると、満ち欠けを繰り返し「再生」の象徴でもある月は「豊作の神様」と考えられていました。
サトイモをお供えしていたのは、来年も作物を収穫できますようにという思いを込めて月にお願いをしていたからだという説もあるそうです。その後、主食がサトイモから米に変わると、米粉でサトイモのような団子をつくって供えるようになったと考えられています。
また、このことが「お団子の横にススキを飾る」ということにつながっているようです。
(中京大学/小早川道子 准教授)
「主食がお米になっていった、稲作が普及したということと関係があって、ススキの穂が稲の穂の形によく似てるということで、これから稲刈りという時季なのでススキの穂みたいに稲の穂が実りますようにということでススキを一緒にお供えしたんじゃないかという説がある」
このほか、魔除け、厄除けの意味でススキを一緒にお供えしているのではないかという説もあるようです。
月見のお団子に関してはこんな疑問も……。
「団子を積み上げるのはなぜ?」(岡山県倉敷市 とし。 55歳)
この疑問について、季節のフルーツ大福などを販売する「夢菓房 たから」で聞いてみました。
(夢菓房 たから/村田優実さん)
「月により近く、思いが届くようにという意味合いで高く積み上げるようになったそうです。お供えしたお月見団子を食べることで月に力をもらって幸福や健康をお願いする」
また、月見と言えば一般的には「十五夜」と言われますが……。
(夢菓房 たから/村田優実さん)
「『十三夜』というものもありまして、十五夜が1年で最も美しい月の日とされているんですけど、十三夜はその1カ月後にありまして、十五夜に次いで美しい月と言われています。十五夜と十三夜、両方見ることによって縁起がいい、逆に片方しか見ないと縁起が悪い『片月見』と言われることもありますので、ぜひ今年は、十五夜と十三夜、両方楽しんでいただきたい」
ちなみに「夢菓房 たから」では十五夜と十三夜に向けて期間限定で「讃岐の夢だんご」を販売しています。このお団子には香川県のブランド米、「おいでまい」を使っています。
2023年の「十五夜」は9月29日(金)、「十三夜」は10月27日(金)です。みなさんも、お気に入りのお団子を見つけてお月見を楽しんではいかがでしょうか。