いまだ鎮火のメドが立たない、アメリカ・ロサンゼルスの大規模火災。火は、セレブが住む高級住宅地を焼き尽くし、安否不明者も多数いて、被害の拡大が心配されます。生活再建のカギとなる保険をめぐる問題も浮き彫りになっています。(1月11日OA「サタデーステーション」より)
■犠牲者さらに増える恐れ
消防士に迫りくる炎。
記者「消防隊は撤退を余儀なくされています」。
この映像は、日本時間きょう新たに撮影された、アメリカ・ロサンゼルス近郊で発生している山火事の様子です。発生から4日が経ち、ようやく消火活動が本格化しましたが、難航しています。さらに、炎は新たな住宅地にも迫っています。
記者「こちら側の住たちはこの不気味な空を目のあたりにしています」
ロサンゼルスでは7日から、少なくとも6カ所で山火事が発生。焼失面積はおよそ150平方キロメートルにのぼり、東京都23区の4分の1の面積に匹敵します。衛星写真でみると、一気に街が消失していく様子がわかります。
現時点で建物の被害は1万棟を超えています。死者は1人増えて11人となり、およそ18万人が避難命令の対象となっています。バイデン大統領は「まだ安否不明者が多数いる」と述べ、犠牲者がさらに増える可能性を示しました。
■セレブ多数被災 被害総額20兆円超か
被害が甚大だったのは、ハリウッドのセレブ達が住む高級住宅地です。タレントのパリス・ヒルトンさんは、一面、瓦礫の山と化した自宅の様子をインスタグラムに新たに公開しました。一部ではまだ火が消えていないところもあります。
(パリス・ヒルトンさんのSNSへの投稿) 「今、ここに立って自分の目で見ると、心が粉々に砕け散ったように感じます」
俳優のメル・ギブソンさんや、アンソニー・ホプキンスさんの家も焼失しました。また、映画「スターウォーズ」のルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミルさんや、ハン・ソロ役のハリソン・フォードさんも避難を余儀なくされています。
住民が避難した地区では、不穏な動きも。
地元の警察 「イートン地区では犯罪行為が続いており、昨日から引き続き逮捕者が増えています。イートンとパリセーズの火災でおよそ18人を逮捕しました」
略奪や窃盗事件が相次ぎ、20人ほどが逮捕されています。今回の山火事の被害総額は、アメリカの山火事では最悪クラスの20兆円を超える見込みです。
■被災者の多く保険加入せず
火の勢いが弱まった地域では、住民が家の様子を見に来ていました。
家が焼失した住民 「私が子供の頃から31年住んでいた家の残骸です。私たちはあの煙突の前でクリスマスの朝を祝いました。残ったのはこれだけです」
これまでも、遠くの山の麓まで火の手が迫ることはあったといいますが、住宅地まで来ることはなかったといいます。
家が焼失した住民 「私たちだけでなく皆がそうです。見渡すとこの地域全体が失われました。地図から消し去られました。衝撃的で現実とは思えず、言葉にできません」
そして、この地域ならではの事情が。
報告・力石大輔記者 「パシフィック・パリセーズの中心です。ほとんどの住宅が焼けてしまっています。多くの住民は、住宅の保険に入れてなかったのではないかということです」
ロサンゼルスの保険業者に話をききました。
エージェント・インシュアランス・グループ 中澤一郎氏 「昨年3月ぐらいから、大手の保険会社が、カリフォルニア(の住宅)の火災保険について、更新をしないという通達を出したようです」
アメリカでは近年、ハリケーンや山火事など自然災害が多発し、保険会社は災害リスクの大きな地域で住宅保険の提供をやめる動きが出ているといいます。CNNによりますと、保険会社は2020年以降、カルフォルニア州内の住宅所有者向けの保険、280万件の更新を拒否したといいます。
家が焼失した住民 「街から家族全員が出ていってしまったらどうなるんだろう。再建できることを願っている」