岡山県では15日から「ツキノワグマ」の狩猟が解禁されました。実に17年ぶりのことなんです。解禁の背景には「保護したことで増えすぎた」ことがあげられます。
(岡山県 自然環境課 若林彰さん) 「クマは以前絶滅の恐れがあったということだったんですが 順次年々増加してきておりまして。 生息数の規定以上の生息数は生息しているということから狩猟解禁に踏み切ったということです」
クマの増えすぎで県内での人的被害の恐れが高まったため15日から来月14日までの1カ月間を狩猟できる期間と定めました。
ツキノワグマは毛皮などを目的に捕獲されたことで数が減ったことから、多くの生息地が1991年に環境省のレッドデータブックに掲載されました。そして1998年には岡山県では推計で10頭ほどしか生息していなかったという調査結果もあります。そのため岡山県は絶滅しないように保護しようと2000年から狩猟を「禁止」にしました。
しかし、禁止したことで数が増えてしまったのです。生息数は1998年には10頭ほどしか生息していないとみられていたのが2012年には109頭と年々増え続け、去年には205頭となりました。実に20年間で20倍に増えたんです。 これに加え、去年は、山のドングリが不作だったことからクマが人里にカキの木などを食べにおりてきたため、出没件数はぐっと増え、過去最多となる237件となっています。
全国では襲われて亡くなった人もいて、被害を出さないためにも猟の解禁に踏み切ったわけです。ただ、急な解禁で課題も浮き彫りとなりました。
鳥取との県境に近い、美作市右手のキャンプ場です。美作市猟友会に所属する藤原敏徳さん(47)に案内してもらいました。キャンプ場の横には30本のクリの木が植えられています。
(記者リポート) 「クマはこちらのクリの木をよじのぼりました。そして少し高いんですが、枝を集めて棚を作り そこでクリを食べていたようです」
クマは9月中旬に出没し、幹には爪痕が残されていました。別の場所で目撃した住民も。
(住民はー) 「子グマが1頭上がってるから山の方に。そして見てたらあとから子グマが1頭上がったんです それで2頭。退治してもらいたい」
(藤原さん) 「今のところ人的被害はないですけど今後人的被害は出てくる可能性はあると思います。シカなんかくくり罠でかかったときに内臓なんか全部食べられて。今度は味をしめて人間を襲うかもしれない」
狩猟前に相次いで出没したことから県に許可をとり、おりも設置しました。 今年度、岡山県のクマの出没件数はすでに先月末時点で105件で、美作市は県内で最多となる56件でした。
(藤原さん) 「早めに県の方も許可を出すなりしていただかないと人的被害が出てくると思うんです。クマを捕った方もおられないから経験がないから心配になるんでどんなかなという不安もあります。今後仕留めるときに対して(行政から)指導なりしていただいて安全な猟をしていただきたい」