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【解説】岡山で相次ぐ交通事故…横断歩道に潜む危険とは 自動車メーカーでは安全面打ち出した開発も

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 11月4日、岡山県総社市で幼稚園に登園中の2組の親子が車にはねられ、2人が意識不明の重体となりました。

 今回の解説は「通学路の安全」について考えます。

総社市の事故 容疑者は「居眠り運転をしていた」と供述

 総社市総社の国道180号で事故は起きました。

 警察によりますと11月4日午前8時半ごろ、押しボタン式信号がある横断歩道を渡っていた2組の親子合わせて4人が乗用車にはねられました。この事故で2人が意識不明の重体、2人が重軽傷を負いました。

 過失運転致傷の疑いで逮捕・送検された新見市井倉の会社役員・林田覚容疑者(64)は赤信号を無視したとみられていて、捜査関係者によりますと「居眠り運転をしていた」と供述しているということです。

通学路の危険性は横断歩道にあり

 11月10日に岡山市北区の鹿田学区で児童の登校を見守っていたのは、学区内の町内会で会長を務める目黒宏平さん(80)です。目黒さんは、通学路の危険性は横断歩道にあると話します。

(大供表町一丁目町内会/目黒宏平 会長)
「(車の)交通量も多いし、子どもも多いというところで、自動車の場合はうっかりがありますね。(横断)歩道上に歩行者がいる場合は行ったらだめなんですよ、車は。けど行きます。これが危ないですね」

 目黒さんと同じ交差点で見守りを行っている女性は長谷川久子さん(78)です。毎朝見守りを行っているという長谷川さんは、12年前に交通事故で両足を失いました。

(長谷川久子さん)
「横断歩道、青で渡っていて事故で両足を切断してしまったので、退院してきてから、ここで私みたいにならないように子どもに声掛けをしています。事故がなくなるのと、子どもたちが元気に挨拶していってくれるのが一番です」

「車が一時停止する割合」の調査 岡山県はワースト

 横断歩道において交通ルールを守らないドライバーが目立ちます。

 日本自動車連盟JAFが、信号機のない横断歩道で歩行者が渡ろうとする際に車が一時停止する割合について全国で調査を実施。その結果、岡山県が全国ワーストの10.3%と、10人のドライバーがいたら1人しか止まらないという結果に。

 ちなみに香川県は25.2%で、全国平均の30.6%を下回っています。

(JAF岡山支部 広報担当/建部拓さん)
「信号のない横断歩道で歩行者がいた場合には、その手前から減速をして必ず手前で一時停止をする。(歩行者が)いるかどうか分からない場合にも止まれるように、その手前で減速する」

 道路交通法では歩行者などが横断歩道を渡ろうとする場合、車は一時停止しなければいけません。違反すると違反点数は2点、反則金9000円などの罰則が科されます。

(JAF岡山支部 広報担当/建部拓さん)
「道路って生き物なので、時間帯とか状況によって毎回同じ状況ってないわけなんですよね。横断歩道に注意を向けて走るっていうことが必要になってくると思います」

なぜドライバーは一時停止しないのか

 JAFは、信号機のない横断歩道に歩行者がいる場合にドライバーが一時停止しない理由について、2017年にインターネットで調査しました。

 それによりますと、「自分の車が停止しても対向車が停止せず危険」が最も多く、この他「歩行者が渡るか分からない」や「後続車から追突されそうになる(されたことがある)から」といった理由を挙げています。

 信号機のない横断歩道では、渡ろうとする歩行者がいる場合には一時停止しなければいけません。そのためにも、横断歩道の手前であることなどを知らせるダイヤマークを見たら減速することが大切だと、JAFも呼び掛けています。

自動車メーカーのシステム開発

 一方で、居眠り運転などによる事故を減らそうと、自動車メーカーが新たなシステムを搭載した車を販売します。

(マツダ 商品戦略本部/栃岡孝宏 主査)
「異常事態を車側が察知して、それによって車を安全に止めていくという機能」

 自動車メーカー大手のマツダは、ドライバーが体調の急変や居眠りで運転できなくなった際に自動で停止する車を2022年に販売します。

 車内のカメラでドライバーの頭の動きや目の動きを把握。居眠りや意識を失うなどドライバーに異変があると判断すると、アラーム音で知らせます。

 ドライバーに反応がなく運転できないと判断されると、ウィンカーやクラクションで周囲に異常を知らせながら自動運転に切り替わり、高速道路ではできる限り路肩に停止、一般道では少しずつ減速して停止します。

(マツダ 商品戦略本部/栃岡孝宏 主査)
「周囲の方を巻き込まないという意味でも、運転者に何かあった時に車が助けられるのは重要なポイント。事故リスクが高まるようにならない、安心した交通環境ができると思っています」

 将来的には、急病で意識を失う前兆を検知するシステムの開発を目指すとしています。

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