視聴者の皆さんの疑問に答える「みんなのハテナ」です。今回は「魚の王様」とも呼ばれるタイのハテナです。たくさんの餌を食べて暑さを乗り切った今の時期のタイは身が太っておいしいそうです。
今回、伺ったのは瀬戸内漁業協同組合の理事、男谷勝さん、57歳。18歳で漁師になった、40年目の大ベテラン。
この日、男谷さんが早朝の漁で取ったマダイ。
(瀬戸内漁業協同組合/男谷勝さん)
「これは赤でなくオレンジっぽい。このタイはうまい。色が全然違う、見た目が」
タイの色の違いは?(倉敷市 まぁ 60歳)
(瀬戸内漁業協同組合/男谷勝さん)
「深い所で生息しているマダイはピンク、赤色。中間層の(水深)10m、15mぐらいにいるマダイはオレンジとか赤色。10m以内、8m、7mでいるマダイはちょっと日焼けサロンというか、人間がそんなところに入った状態でちょっと黒い」
また食べている餌によっても色が違うそうです。
(瀬戸内漁業協同組合/男谷勝さん)
「タイはエビを食べると赤色、ピンク。最近の浅い所のマダイは貝類を食べているのでちょっとオレンジっぽい」
太陽光や餌など環境によって色が変わるんですね。
天然と養殖で何が違う?(さぬき市 ヤマダヌキ 71歳)
男谷さんの高松市沖の瀬戸内海での底引き網漁に同行しました。
(瀬戸内漁業協同組合/男谷勝さん)
「きょうの潮では無理。夜ならまだ多少(期待できる)。プランクトンが透き通って見えている。網自体に魚が入ろうとしない。全部前を向いて泳いでいる。魚が逃げる」
この日は女木島の近く、水深約20mの海に網を入れ、約40分後に引き揚げました。
網の中には小さいマダイやアオリイカなどが数匹いたものの残念ながら、大きいマダイは入っていませんでした。
(瀬戸内漁業協同組合/男谷勝さん)
「マダイだがリリースサイズ。これは17、18cm。(Q.何cmにならないと?)今年から決めているのが20cm。20cm以下は再放流。海がきれいになり過ぎて、昔は濁っていた状態のときは魚がある程度取れていた」
猛暑が続く陸上と同じように海水温も上がっていて大きいマダイは日中、岩場の陰に隠れているそうです。
では、養殖とはどう違うのでしょうか?
(瀬戸内漁業協同組合/男谷勝さん)
「養殖のタイは毎回餌を捕食、一定の時間帯で餌を入れてくれるから常に活性して食べている。天然モノは(餌を)追って食べたり、食べられないのは痩せているのでその関係で天然モノと養殖モノは違う」
また天然のマダイは鼻の穴が片側に2個ずつあるのに対し、養殖のマダイは1個ずつしかないそうです。
「魚の王様」と呼ばれ、めでたい、縁起がいいタイ。養殖モノが安定して出荷され、高級魚と呼ばれた昔ほど高い値は付かないそうです。
おいしいタイの見分け方は?(岡山市 シゲさん 63歳)
(瀬戸内漁業協同組合/男谷勝さん)
「おいしいタイの見分け方は、とにかくしっぽまでプリプリっと太っているタイはうろこと皮の間から脂がちょっと出ているのが見える。そういったタイはむちゃくちゃうまい」
男谷さんはマダイを新鮮な状態で消費者に届けるため、えらから血を抜いた後、鼻の穴に針金を通し、神経を締めて出荷しています。
(瀬戸内漁業協同組合/男谷勝さん)
「神経を抜くとこんな感じでずっとこの状態でいる。最低3日は持つ」
男谷さんのマダイは高松市のスーパーなどで販売されています。男谷さんの漁船と同じ「勝丸」という名前を付けて他のマダイと差別化を図っているそうです。
おいしいお薦めの食べ方は?(丸亀市 れいちゃん 57歳)
男谷さんの知り合いで、居酒屋を営業する六車和則さんにマダイを調理してもらいました。
(居酒屋まつばら/六車和則さん)
「ここの頭がちょっと硬いので(包丁の)根っこの方で(骨の)関節を落としてもらう。皮と身の間においしい成分が詰まっているので、そこがもったいないので皮付きで松皮造り」
皮を残した刺身にさっと熱湯を通す「湯引き」で仕上げてもらいました。皮と身の間のうまみを味わうことができます。
(記者リポート)
「食感はしっかりとしています。かめばかむほど甘みが出ます」
(居酒屋まつばら/六車和則さん)
「タイもあらも骨も全部、かぶと煮にする時に一緒に炊いてもおいしいし、だしを取ってお吸い物とかでもおいしいし、捨てるところは内臓以外はほぼないと思う」
これから涼しくなり、活動的になった天然のマダイはますますおいしくなるそうです。