岡山理科大学は、広島市安佐動物公園やドイツの自然史博物館などと共同で、オオサンショウウオの骨の組織を分析し、若年期に不明瞭な「成長線」が性成熟後に明瞭になることを突き止めました。研究グループは「骨組織から成長段階を推定できる可能性が示され、絶滅した大型両生類の年齢を類推するヒントにつながる」としています。
研究成果は日本動物学会の国際学術雑誌「Zoological Letters」に掲載されました。
研究グループは、安佐動物公園が保管している日本オオサンショウウオ8体の骨などを解析しました。その結果、若年期の骨に見られる環状の成長線は薄く拡散して不明瞭でしたが、年齢が高くなるにつれて明瞭になっており、これが活発な生殖の開始を示していると解釈されました。
生年月がわからない野生のオオサンショウウオは体の大きさだけで年齢を推定するのが困難ですが、安佐動物公園で飼育された個体は年齢が分かっているため、骨組織と年齢の関係がはっきりし、これにより中生代の大型両生類などの化石からも年齢や進化が類推できる可能性が示されました。
また日本オオサンショウウオの骨細胞の平均的な大きさは、これまで知られている他の現生両生類より大きいことも分かりました。さらに、他の両生類の骨組織のコラーゲン繊維は規則正しく配列する傾向にありますが、オオサンショウウオがもつ骨組織の配列はそろっておらず、絶滅種の化石と似た特徴を持っていました。
このことからもオオサンショウウオが「生きた化石」と言われ、古生物の適応進化を知る上で重要な存在であることが確認されました。
安佐動物公園は1979年からオオサンショウウオの繁殖を続けており、多くの標本を保管しています。今回の研究はすべて文化庁の法令に従って取り扱われました。