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23もの河川氾濫 能登豪雨“映像比較”で見えた被害全容

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 復興途中の能登半島を襲った豪雨。輪島市などでは合わせて23もの河川が相次いで氾濫しました。一体、何が起きたのか、前後の映像から検証します。 

■能登豪雨“映像比較”で見えた全容

 豪雨は人々の日常をのみ込みました。住宅が4軒流された輪島市久手川町。4人が行方不明となっているここで何が起きていたのでしょうか。           この現場では住宅4軒が流され、中学3年生の喜三翼音さんら4人と連絡が取れていません。同級生の家族らが見守るなか、父・鷹也(42)さんも捜索に加わっています。

翼音さんの父 喜三鷹也さん 「3階に逃げてくれと言ったんですけど、『(ドアが)が開かない』と言っていました。とにかくどんな形でも見つかってほしい願いだけです」

喜三翼音さんの母 「最後は『うん』で終わりました。高い所に逃げてねって言って『分かった』とそれが最後。翼音が見せてくれた画像。これが最後の画像です」

 そこには家の間際まで濁流が押し寄せる画像が残されていました。

喜三翼音さんの母 「どうしていいか分からないから、怖かったと思います」  

 川沿いに建物も見当たらない集落。わずかに建物の土台が見えます。住宅が流された周辺の氾濫前の地図。人々が何気ない日常を営んでいたであろう、真新しい住宅や倉庫が並んでいました。

 土台を残し、すべてを流した豪雨。上から見ると、この左手を塚田川が流れているのが分かります。豪雨の前の画像では川は見えませんでしたが、22日の映像では増水した塚田川が周辺の建物や木々を押し流している様子が分かります。

 周辺の集落が雨で一変、土砂や流木が押し寄せています。この手前に見えているのが塚田川です。

 22日に見つかったのは80代男性とみられ、死亡が確認されました。

 今も連絡が取れない喜三翼音さん。祖父も孫の無事を祈ります。

行方不明の翼音さんの祖父 「何とか捜さないと。1分、1秒でも…捜してあげないと。大事な孫を1分でも早く見つけたい」

 同じ輪島市で久手川町から西に位置する門前町。ここでは復旧半ばのトンネルが被害に遭いました。

 積み重なった土砂はトンネルの半分ほどを埋め尽くし、すぐそばを濁流が流れています。金沢から輪島へ抜ける国道249号。輪島市にある「中屋トンネル」です。

 交通の要所、片側1車線のトンネルは土砂や流木が押し寄せ、とても車が通れる状況ではありません。            道路の両端には黒い土嚢(どのう)が並べられ、クレーン車が滑り落ちています。今年1月に起きた震災。その復旧工事半ばでの豪雨。

 25日、地元車両などの通行が再開する目前のことでした。この場所では、一時14人と連絡が取れていませんでしたが、男性2人の死亡が確認されています。

一命を取りとめた交通誘導員の男性に話を聞きました。

一命を取りとめた交通誘導員 「3日も4日もいないといけないのか、それとも野垂れ死ぬのか。全然連絡が取れなかったから、現場から1時間ほどかけて歩いてきた。自衛隊の救助で一緒に歩いてきた」

 被災地に再び牙を向いた自然の猛威。隣の珠洲市でも、その爪痕が残されていました。

 以前は若山川沿いにたたずんでいた一軒の白い住宅。川沿いの法面が流されて大きくえぐれ、傾いています。上空から見た地図では、家から川までは少なくとも数メートルあるのが分かります。

 そばを流れる若山川は一気に増水し、氾濫しました。

周辺住民 「川はすごく水かさが増して、勢いもよかったところにガタッとした。(住民は)無事でした」

 輪島市宅田町。地震の被災者が暮らす仮設住宅に被害が及びました。一面は茶色く濁った水で覆われ…。いくつもの仮設住宅が並んでいます。

 今回の豪雨で水は床の上まで押し寄せました。

仮設住宅に住む人 「ひどかったよ。僕ら出ていく(避難する)時にはもうこのくらいまで水きていた」 「(Q.浸水のスピードはどうだった?)速かったですよ。ものすごく速かった」  この仮設住宅は、洪水ハザードマップで浸水被害が想定されていました。上空から見ると仮設住宅を裏に川が流れてるのが分かります。

 河原田川が氾濫しました。橋をのみ込むように濁流が押し寄せます。普段は堤防や歩道が見えますが…。わずか1時間余りで一気に増水。茶色く濁った水が広がりました。

 支流では、白い車が流されていく様子を捉えます。車は回転しながら徐々に沈んでいるように見えます。その先の橋をすれすれで通り過ぎました。

 恐ろしいのは氾濫までの早さです。近くの別の川では、わずか6時間で水は堤防を越え、隣の道路にまで押し寄せました。

 23日、仮設住宅は水が引き住民は後片付けに追われました。67歳の尾形さん。元日の地震で自宅が全壊し、6月からこの仮設住宅に入っていました。    仮設住宅に暮らす尾形哲信さん 「実際、川幅も広いし土手も高いし、ここまで被害は頭になかった。そこまでという頭は地震も一緒だが。自分は仮設だけで済んでいるけど、地震で残った家が流された。かわいそう」

 想定外の大雨。能登地方では23の河川が氾濫しました。

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