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【物価高と住宅高騰で生活危機】日銀利上げも“円安基調が継続”高市総理の課題は?

政治

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高市早苗総理は1月1日、「新年の所感」を公表し、日本が直面する内外の課題について強い危機認識を示した。高市総理は、日本社会の足元に進行する「人口減少」について、「静かな有事とも言うべき事態」と位置づけた。そのうえで、長期にわたり日本経済を覆ってきたデフレ状況から転じ、国民がいま直面しているのは深刻な「物価高」であると指摘。また、安全保障環境については、「戦後最も厳しく、かつ複雑な局面にある」と強調。国際情勢にも言及し、高市総理は、戦後日本が依拠してきた「自由で開かれた国際秩序」が大きく揺らいでいると指摘した。また、高市総理は世界情勢にも言及し、「世界を見渡せば我々が慣れ親しんできた自由で開かれた国際秩序は揺らぎ覇権主義的な動きが強まるとともに政治・経済の不確実性が高まっている」と危機感を滲ませた。

年末年始の食卓にも物価上昇の影が落ちている。民間調査会社「帝国データバンク」が11月25日に実施した2026年正月向け「おせち料理」の価格調査において、2026年の平均価格は2万9098円(税込み)で、前年比で3.8%(1054円)の値上げ。同社の調査資料によると、イクラは27%上昇、数の子については12%と海外産を中心に、円安の進行や加工地での人件費上昇といったコスト増を背景に、値上がりが続いている。伝統的な正月食材の価格は、家計に重い負担を強いる状況となった。物価の「実体」と国民の「実感」との乖離も、改めて浮き彫りになっている。日銀が10月10日に公表した生活意識に関するアンケート調査では、「1年前に比べ、現在の物価はどの程度変化したか」との問いに対し、2025年9月時点で平均的な回答はプラス16.9%、中央値でもプラス10.0%となった。実際、2025年8月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合、前年同月比)は2.7%の上昇にとどまっており、統計上の物価上昇率と生活実感との間にはなお大きな隔たりが存在するとみられる。

住宅価格の高騰が、国会の場でも改めて問題視された。玉木雄一郎・国民民主党代表は2025年12月10日の衆議院予算委員会で、東京の住宅事情を念頭に「中間層にとって、ちゃんとした家を持つことが夢物語になってきた」と指摘。玉木氏は、「東京では、所得の17倍じゃないと、新築マンションを買えない。中間層の人からすると、夢物語になっている。どこかで変えなければならない」と述べ、高市総理に対し、住宅価格高騰への実効性ある対応を迫った。

マンション市場でも上昇基調は止まらない。不動産調査会社「東京カンテイ」によると、2025年11月時点で、東京23区の新築マンション価格は前月比で14.1%上昇、平均価格は1億2420万円。一方、東京23区の中古マンション価格は前月比2.7%上昇し、平均価格は1億1485万円となり、1億円超えは6カ月連続で、住宅取得のハードルは新築・中古を問わず高まり続けている。こうした中、若いファミリー層を中心に「50年ローン」という選択肢に注目が集まる。不動産大手「オープンハウス」の調査によると、5000万円のマンションを変動金利0.85%で購入した場合、35年ローンでは月々の返済額が約13万7674円となるのに対し、50年ローンでは約10万2321円に抑えられる。しかし、利息総額は35年ローンで約782万円にとどまるのに対し、50年ローンでは約1139万円に膨らみ、支払い総額は約357万円増加する。月々の負担を軽減する一方で、将来世代まで債務を引き延ばす構造的なリスクを抱えることになる。賃貸住宅の負担も重くのしかかる。ファミリータイプ物件の平均賃料は、2023年11月と2025年11月を比較すると、東京23区で13.0%、首都圏全体では24.8%上昇した。大阪市でも16.5%の上昇が確認され、福岡、札幌など主要都市でも同様の傾向が広がっている。

住宅価格の高騰が続く中、与野党双方で対策を模索する動きが本格化している。国民民主党は2025年12月11日、不動産価格の上昇を抑制するため、「空室税」の創設を柱とする法案を国会に提出した。法案では、投機的な取引によって住宅価格が著しく高騰している地域を対象に、居住目的で利用されていない住宅に課税すること、また、取得から2年以内に売却される「超短期取引」について、譲渡益への課税を強化することを盛り込んだ。短期転売への課税という発想自体は、過去にも採られてきた。1987年の税制改正では、いわゆる「土地ころがし」を抑制するため、法人が2年以内に土地を売却した場合、その売却益に対して30%の追加課税が導入されていた。一方、政府は別のアプローチで対応に乗り出す。住宅価格の高騰を受け、長期固定金利型住宅ローン「フラット35」の融資限度額を、現行の8000万円から1.5倍となる1億2000万円へ引き上げる方針を固めた。引き上げは20年ぶりとなる。「フラット35」は、住宅金融支援機構が民間金融機関と連携して提供する、最長35年の全期間固定金利型住宅ローン。融資限度額の引き上げに加え、金利についても3年程度は本来の水準より低く設定する。

高市総理は1月1日、「国民の皆様が直面しておられる物価高への対応を最優先に取り組んできた」と強調した。昨年の臨時国会で補正予算を成立させ、「国民との約束を果たすことができた」と成果をアピールした。政府が講じた物価高対策は総額8兆9000億円規模にのぼる。子ども(0~18歳)1人当たり2万円の給付、電気・ガス料金の補助による3カ月で約7000円の負担軽減、重点支援地方交付金を活用した食料品購入支援(1世帯1万円、1人当たり3000円)など、家計を直接下支えする措置が並んだ。さらに、ガソリン暫定税率の廃止による世帯当たり約1万2000円の負担軽減、所得税の「年収の壁」見直しによる納税者1人当たり2万~4万円の減税効果も打ち出された。2025年12月26日に閣議決定された2026年度予算案は、一般会計総額が約122兆3000億円と過去最大級となり、新規国債発行額も約29兆6000億円に達する見通し。

こうした中、高市政権は2026年を見据え、物価高対策の「次の段階」として二つの柱を掲げた。一つは「賃上げ」、もう一つは「円安是正」。賃上げを巡っては、高市総理が2025年12月25日、経団連の会合に出席し、「物価上昇に負けないベースアップの実現」を、今年の春季労使交渉に向けて、経営側に強く求めた。また、政府は、1兆円規模の支援基金を活用し、中小・小規模事業者の成長投資を後押しするほか、重点支援地方交付金の拡充などを通じて、賃上げ環境の整備を進める方針だ。さらに、木原稔官房長官は、連合が5%以上の賃上げを掲げる春闘に向け、連合の新年交歓会への出席を調整している。政府として労使双方と連携し、賃上げの機運を高める狙いがある。一方、物価高の大きな要因となってきた円安への対応も政権の重要課題。片山さつき財務大臣は2025年12月23日、急速に進行する円安について「経済の基礎的条件、いわゆるファンダメンタルズを反映しているとは到底思えない」と述べ、投機的な動きを含めた「行き過ぎた動き」に対して強い姿勢で臨むことを強調した。そのうえで、片山財務大臣は、「私はフリーハンド」と発言し、為替市場への躊躇なき牽制を示唆した。

★ゲスト:永濱利廣(第一生命経済研究所)、ジョセフ・クラフト(経済・政治アナリスト) ★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)

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