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【特集】落語で防犯啓発の「どんぐり亭ぽりす」 正体は「警察学校長」 香川

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 香川県に「どんぐり亭ぽりす」として、落語で特殊詐欺や交通事故への注意を呼び掛けている男性がいます。彼の本職は「警察学校の学校長」です。

(落語)
「プルルプルル。これ電話がなっています」
「プルルプルル。はいはい眞鍋です。頭がおかしくなったわけではなくて、おばあちゃんを演じてます。はいはい眞鍋です」
「私さぬき警察署のサギダと申します」
「サギダさん? 怪しげな名前やなあんた。本当に警察官なん」

 この日、落語で「特殊詐欺」への注意を呼び掛けたのが「どんぐり亭ぽりす」こと眞鍋強さん(60)です。

 眞鍋さんの本職は「香川県警察学校の学校長」です。

 9月に行われた初任科の卒業式では、30人を送り出しました。

 大学を卒業後、香川県警に入った眞鍋さんは捜査2課で特殊詐欺事件の捜査をした経験もあります。
 趣味で落語を聞くことはありましたが、人前で披露したことはありませんでした。

 転機は2014年……さぬき警察署の副署長をしていた時でした。

(どんぐり亭ぽりす/眞鍋強さん)
「お年寄りが集まる場所で、交通安全の話とか特殊詐欺の話を警察がしに行く……その時に、いつも着物を着た落語をしているグループがいて、この人たちに、落語を通して交通安全の話とか特殊詐欺防止の話をしてもらえればいいかなと思ってお願いにいったんですよ。そしたらなぜか私が『落語』をするようになって」

 これがきっかけとなり、眞鍋さんはさぬき市を中心に落語や音読などを行っているボランティア団体「朗読グループ どんぐり」に入りました。そして、本格的に「落語」を始めました。

 眞鍋さんを誘った「どんぐり」の代表、池田洋子さんは……。

(朗読グループ どんぐり/池田洋子 代表)
「眞鍋さんがとても落語が好きで。眞鍋さんが落語されたらどうですかっていうお誘いをした。眞鍋さんの落語で感じるのは、動きで笑わせてくれるというのがすごく他の方にないかなと思うところで、動き、すごいですよ1回見てください(笑)。右に左に上に下に動きまくる」

 現在、眞鍋さんは警察学校長を務める傍ら、月に1度ほど、地域の公民館などで落語を披露しています。

 その練習方法は……。

(どんぐり亭ぽりす/眞鍋強さん)
「毎日毎日、通勤中の行きと帰りに、べらべらしゃべりながらとか、土日の散歩の時にしゃべりながら」

 落語を続けるうちに変化もあったようです。

(どんぐり亭ぽりす/眞鍋強さん)
「おもしろいことを言って笑わしてやろうという気持ちはちょっと出てきて。例えば、署長時代でも、キャンペーンとか最初あいさつしますよね。みんなが1回気持ちが和んだら、あとは言いたいことを言える。こちらも言えるし、向こうもよく聞いてくれるので、そういう意味ではお笑いを常に入れてやろうという発想になったのはよかった」

 日々練習を重ね、これまで80回~100回ほど落語を披露してきたという眞鍋さんですが……。

 実は、人前で話すことが苦手なんだそうです。

(どんぐり亭ぽりす/眞鍋強さん)
「好きじゃないですね」
「警察官なんで、職業柄そういう場面がたくさんあるので話をしますが、仕事なので仕方ない。自分からしたいしたいというタイプではない」
「落語じゃなくてボランティア。ボランティアする手段の一つが落語だったんじゃないかなって。みんなに笑ってもらったり、終わった後、帰る時に、ありがとうございましたとか、楽しかったですって言われて、笑顔で帰られたらうれしいんですよね。それがうれしくてボランティアが楽しい」

 10月5日のさぬき市での公演には約400人が集まりました。始まる前は緊張していた眞鍋さんですが……。

(どんぐり亭ぽりす/眞鍋強さん)
「私はどんぐり亭ぽりすと申します。プロの落語家ではございません。おしゃべりもあまり上手ではないんですけど、最後まで精一杯がんばろうと思いますので、よろしくお願いします」

 本番が始まると堂々とした落語で特殊詐欺への注意を呼び掛けました。

(落語)
「今のところ大丈夫ですけど、早急に口座を凍結していただく必要があります」
「あ~それはちょっと無理や。昨日な、北海道の親戚からなカニが届いてな。もううちの冷凍庫はそれでパンパンなんじゃ。凍結はうちではできん」
「違います。そういう凍結ではございません。銀行口座を凍結するということですね。冷凍庫は必要ありません」

 この日は詐欺の代表的な手口を紹介。会場は笑いに包まれていました。

(落語を聞いた人)
「ありがたいというか、身につまされるようなお話をいただきました。すごく参考になりました。こういう席に座ってしまうと寝てしまうかなと思ったんですけど、シャキっとして聞かせていただきました」

 本番を終えた眞鍋さんは……。

(どんぐり亭ぽりす/眞鍋強さん)
「できたんかなどうなんかな心配です。知り合いの人もいたし、笑ってもくれたから良かったです」

「ボランティアの一つの手段として、自分はたまたま落語だったということだろうと思うし、OBになって貢献できるのは、落語を通じての交通安全とか防犯講話みたいな話だと思うので、一生できるだけ続けていきたい」

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