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【戦争状態で軍事援助】プーチン氏訪朝“戦略新条約に署名”ロ朝脅威で東アジアに影響

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プーチン大統領は19日午前2時過ぎ、予定時間を遅れて平壌国際空港に到着した。未明にもかかわらず、金正恩総書記は空港で出迎えた。金氏は、専用機を降りたプーチン氏と握手、抱擁するなど、蜜月ぶりを演出した。今回、プーチン氏からロシア製の高級車リムジン「アウルス」1台が金氏に贈呈された。リムジンのナンバープレートには、朝鮮戦争の休戦協定締結日である1953年7月27日を意味するとみられる「7・271953」という数字が記されていた。

プーチン大統領は19日、金正恩総書記と会談し、両首脳は、有事の際には相互に軍事援助を行うなどを盛り込んだ「包括的戦略パートナーシップ条約」に署名した。同条約は23条から構成され、第4条には、「一方が個別的な国家、または、複数の国家から武力侵攻を受けて戦争状態になった場合、他方は国連憲章第51条と朝鮮民主主義人民共和国とロシア連邦の法に準じて、遅滞なく自国が保有しているすべての手段で、軍事的およびその他の援助を提供する」と盛り込まれている。旧ソ連・ロシアと北朝鮮の条約を巡っては、1961年に「ソ朝友好協力相互援助条約」が締結されていた。第1条には、「一方が個別国または国家連合から、武力侵攻を受けて戦争状態になった場合他方は、遅滞なく自国が保有しているすべての手段によって軍事的またはその他の援助を提供する」とあり、国連憲章と両国の法に準じて、という文面以外は概ね同様となっている。プーチン氏は20日の記者会見で、「条約を結んだのは、古い条約が消滅したためであり、以前の条約と内容は同じで、新しいことは何もない」と説明した。

今回の条約署名に先立ち、米国のサリバン安全保障担当大統領補佐官は17日、「国境の向こう側から攻撃を仕掛けてくるロシアに対して、ウクライナが反撃できるようにするのが理にかなっている」として、米国が容認してきたロシア領内への攻撃の対象地域をハルキウ方面の国境付近から、「ロシア軍が侵攻を試みているすべての場所に拡大する」と明らかにしていた。ロシアと北朝鮮が有事発生の際に、軍事的に相互に援助する条約が結ばれたことを受けて、金正恩総書記は19日、「両国関係は、同盟関係という新たな高い段階に発展した。ウクライナでの特殊軍事作戦に関連して、ロシアに全面的な支持と連帯する」と語った。北朝鮮と韓国の関係を揺さぶる大きな緊張が走った。金正恩総書記は今年1月15日、日本の国会にあたる最高人民会議で、憲法を改正し、韓国を「第1の敵国」と定め、自国民を教育すべきだと表明していた。

今回のロシアと北朝鮮の軍事協力を含む条約署名は、日本を含む東アジアの情勢に影響を及ぼす可能性が指摘されている。現在の東アジア情勢だが、韓国に保守系のユン・ソンニョル政権が2022年に発足して以来、北朝鮮と韓国は、強い対立関係にある。革新系だった文在寅政権の時は、2018年に3回の首脳会談が行われ、関係は非常に良好だった。ユン・ソンニョル政権では、韓国と日本の関係が改善した。米国も交え3カ国で日米韓首脳会談を行い、関係強化を図り、日米韓で北朝鮮への牽制を強めてきた。今回、北朝鮮がロシアと新たな条約を結び、関係をさらに急接近させたことで、日米韓対ロシア・北朝鮮という新たな対立軸が鮮明となった。

★ゲスト:牧野愛博(朝日新聞外交専門記者)、兵頭慎治(防衛省防衛研究所・研究幹事) ★アンカー:木内登英(野村総合研究所エグゼクティブエコノミスト)

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