約70年前、乳児に大きな健康被害をもたらした「森永ヒ素ミルク中毒事件」。被害者の高齢化が進む中、これからも適切な支援を続けていくための研修会が、岡山市で開かれました。
(森永ヒ素ミルク中毒事件 被害者/菅野孝明さん)
「子どもの命の糧である粉ミルクの中に『ヒ素』が入っていた」
研修会を行ったのは岡山市の地域包括支援センターです。
被害者の高齢化が進む中、「森永ヒ素ミルク中毒事件」について理解を深め、適切な支援を続けていけるよう、新規採用職員らを対象に毎年行ってるものです。
被害者のひとり、菅野孝明さん(69)は、子どもの頃からぜん息が続いていることなど苦しんだ経験や思いを語りました。
事件発生当時、被害者は1万2000人を超え、このうち130人が死亡しました。
岡山県は特に被害が多い地域で、69年が経った今も健康不安を抱える人の救済事業が続いています。
(森永ヒ素ミルク中毒事件 被害者/菅野孝明さん)
「支援をする立場の人たちなので、事件の詳細、どういう状況の人がいるか、どういう問題があり、助けが必要かということを皆さんに理解していただけたら」
(研修を受けた職員は―)
「(被害者が)どのように過ごしてきたのか、気持ちを傾聴しながら支援方法について一緒に考えていけたら」
「今も後遺症で苦しんでいる人もそうですし、元気になってほしいと飲ませていた親も被害者だと知って勉強になりました」