洪水被害への怒りは国王夫妻に向けられ、市民が泥を投げ付ける事態となりました。
洪水被害とともに混乱が広がっています。雨も降らないなか、傘に守られながら歩くのはスぺインのフェリペ6世国王です。
スペイン東部のバレンシア州。町の中を投げ付けられた泥と怒号が飛び交います。
先月29日、スペイン東部と南部を襲った集中豪雨。バレンシア州の一部地域では8時間で1年分の雨が降り、大洪水となりました。数え切れないほどの車とがれきが路地を埋め尽くし、アンダーパスにも大量の水によって流されてきた車の山が。
地元住民 「あまりにも多くの命が、救えたかもしれない命が失われた」
犠牲者は、これまでに少なくとも217人。ヨーロッパで起きた気象災害としては過去50年で最悪のレベルとなりました。
そうしたなか、60人以上が死亡した町を訪れた国王とレティシア王妃。騒ぎが起きたのは被災地に足を踏み入れた時でした。
泥まみれになりながらも住民と対話を続ける国王夫妻。しかし、住民たちの怒りは収まりません。
地元住民 「4日遅い!4日遅いよ!」
原因は警報を出すのが大幅に遅れるなどした当局の初期対応の遅さ。そして、洪水発生後の支援の遅さです。
地元住民 「軍は何日も来てくれなかった。来てくれたのはボランティアの人たちだよ」
ようやく本格的な復旧作業が始まりましたが、被災地では略奪行為が相次いで27人が逮捕されるなど、住民たちをさらに不安にさせる事態が発生。
また、新たに雨が降り出し、行方不明者の捜索活動も難航している状況だということです。