荷物を宅配ボックスなどの指定した場所に置いてもらい、対面せずに受け取る「置き配」。宅配ドライバーの人手不足や相次ぐ強盗事件などを背景にニーズが高まっています。その現状を取材しました。
■「置き配」ニーズ高まる
1都3県を中心に配送業務を行う都内の会社。
SBS即配サポート 配送ドライバー 山田健児さん(32) 「正確かつ時間内にしっかり届けることを意識して日頃からやっています」
配達ドライバー歴5年の山田さん。多い日は一日におよそ100個の荷物を届けています。トランクから手早く荷物を選ぶと、早足で届け先に向かいます。この日の荷物のほとんどが「宅配ボックス」や、玄関先に届ける「置き配」が指定されています。
なんでも、ここ数年で対面での受け取りを希望する利用者は激減しているといいます。その理由について、街の人は…。
マンションで一人暮らし 30代 「基本的に対面が怖いので、(自分が)女性で配達員が(だいたい)男性なので、『怖いな』ということでなるべく対面は避けたい」
防犯意識の高まりからでしょうか。ある調査では、対面で荷物を受け取ることに不安を感じていると答えた人は6割以上に上りました。
ところが、配達現場ではこんな問題も…。
宅配ボックス音声 「申し訳ありません。ただいまお取扱いできません」
荷物を届けたくても、宅配ボックスに空きがありません。その事情を紙に書いて、不在連絡票とともにポストに入れます。
山田健児さん 「宅配ボックスは30近くあったが、全部埋まっていた。同様に扱う業者が多いので、空いていないケースがやはり多い」
何しろ、ネット通販の市場規模はここ10年で倍以上に。宅配便の取り扱い個数は増え続け、昨年度は50億個を超えています。
一方で、入居者の数に対して宅配ボックスの数が十分ではないのが現状です。
マンション住まい 40代 「(Q.宅配ボックスはいくつある?)10個くらい」 「私が(家に)いないのがいけないが、宅配ボックスが空いていないから受け取れないのは相当ストレス」
共働きの夫婦 「不在通知があると申し訳ない。最近は置き配が当たり前なので、たまに入っていると…」
配達員からは嘆きの声が聞こえてきました。
山田健児さん 「空きがないんだ…。こりゃ終わらないわ…」
この日の取材中に運んだ30個の荷物のうち4個が宅配ボックスがいっぱいで再配達になりました。
山田健児さん 「まだ少ない方だと思います」 「((Q.多い時は?)(再配達は)半分以上。その後に再配達の依頼が入ると余計に時間が奪われてしまったり、ガソリン代もかかってしまう」
“2024年問題”で人手不足も懸念されるなか、再配達は時間とコストがかかります。特に「一軒家」や「アパート」では、宅配ボックスの設置率が低いのが課題です。
そうしたなか、東京都が活用を呼び掛けているのが小脇に抱えられる黒い板。広げれば置き配バッグに早変わり。鍵も掛けられます。希望する都民に3000個を無料で提供しています。
また、ネット企業や大手宅配会社は先月から「置き配」の利用者に1回あたり最大5円のポイントを還元する事業を始めました。
山田健児さん 「できれば個人宅配にも宅配ボックスは設置してほしい」