外遊先のペルーで、習近平氏やバイデン氏と相次いで初の会談に臨んだ石破総理ですが、各国が見据えるのは、来たる「トランプ時代」です。来年1月の就任に向け、驚きの人事を連発するトランプ氏。日米関係への影響は。(11月16日OA「サタデーステーション」)
■トランプ氏不在も際立つ存在感
南米・ペルーで開幕したAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議。アメリカのバイデン大統領にとっては最後の外交の場ですが、目立っているのが、次期大統領トランプ氏を意識した動きです。日米韓首脳会談でも…
アメリカ バイデン大統領 「私たち3カ国が協力すれば、今後何年にもわたってインド太平洋地域の平和と安定の基盤となるだろうと、私は心から信じています」
トランプ政権になる前に、3カ国連携の枠組みをさらに強固にするべく、安全保障や経済分野での調整を担う事務局を新たに設置することで合意しました。
石破総理の就任以降、初めての会談を行った日本と中国も、トランプ政権を見据え、安定した関係を築きたい思惑は一致しています。ほかの参加各国も、「トランプ関税」への警戒感が広がる中で、自由貿易の維持に向けた結束を打ち出したい考えです。日米首脳会談を終えた石破総理は…
石破茂総理 「トランプ次期大統領との間でも日米同盟を新たな高みに引き上げ、日米韓の戦略的連携を強化していくために努力をしていきたい」
しかし、石破総理が打診しているトランプ氏との面会は、実現が難しいとの見方が広がっています。トランプ氏と対面で会談できた首脳はアルゼンチンのミレイ大統領だけです。この理由について専門家は…
アメリカ外交に詳しい明海大学・小谷哲男教授 「ミレイ大統領も“ミニトランプ”とも呼ばれる人で、トランプ氏と基本的に考え方が近い。政権が発足するまで、個人的な関係を重視して外交していくと思う」
■ケネディ氏起用に現地医師は懸念
新政権に向けた“トランプ流”人事も着々と進み、報道官には、史上最年少27歳のレビット氏の起用が発表されました。
一方、ある人事によって医学界に波紋が広がっています。
トランプ氏(今月14日) 「健康と長寿を愛する人にとっては最重要のポストだ。私が指名したのはケネディ・ジュニアだ」
厚生長官に指名された、ロバート・ケネディ・ジュニア氏。
ケネディ氏(8月) 「『アメリカを再び健康に』そんな大統領を望みませんか?」
ケネディ氏(3月) 「(ワクチンの)有効性・安全性・長期的な影響を調べる試験を要求します」
ケネディ氏は、ワクチンの安全性に関する質の良い情報を提供することが課題だとしています。一方でこんな発言も…
ケネディ氏(去年7月) 「新型コロナは白人と黒人を攻撃するように設計されている」
ジョン・F・ケネディ元大統領の甥に当たりますが、「ケネディ家の異端児」とも言われてきました。ケネディ氏の妹がCNNに出演した際には…
CNN司会者 「あなたの兄はアメリカの医療の責任者として信頼できますか?」 ケネディ氏の妹 「いいえ、信頼できません。しかし、私は兄を愛しています。家族の一員です。国の重要な問題について意見が分かれていても、お互いに愛し合う道はあると信じています」
アメリカで働いている日本人医師は…
マウントサイナイ病院 山田悠史医師 「医療現場への混乱をもたらす可能性があるんじゃないかとは思いますね。「複数のワクチンが自閉症につながる」と今も言っている。その懸念の声に対して、何回も研究が行われ、「関連が無い」と否定してきた経過があるにもかかわらず、根拠なくそういった発言を未だにしている。国家として大きな懸念材料ではないか」
トランプ氏はケネディ氏の選出時の声明文で「あまりにも長い間、アメリカ人は製薬会社や食品会社による欺瞞、誤報、偽情報に押しつぶされてきた」としていて、ケネディ氏を後押ししています。
■“テレビ映え”重視?トランプ流人事の裏側
物議をかもす“トランプ流人事”ですが、重視されていることがあるといいます。
アメリカ外交に詳しい明海大学・小谷哲男教授 「トランプ氏の人事に関しては、今、フロリダの自宅に人事を行う部屋が作られていて、いくつかのモニターが置かれ、その候補者の写真や経歴が示されている。一つのモニターには、候補者がテレビに出た時の動画が流されている。トランプ氏はこの動画も重視しているようで、自らの政策をメディアでどれだけうまく積極的に発信できるかという点も、候補者を絞る条件にしているようです」
外交や安全保障に関わる重要ポストも決まりました。国務長官には、中国やイランに強硬な姿勢を示す、マルコ・ルビオ上院議員。国防長官には、FOXニュースで司会を務めている、ピート・ヘグセス氏が異例の抜擢となっています。日本にはどんな影響があるのでしょうか?
アメリカ外交に詳しい明海大学・小谷哲男教授 「ルビオ氏が中国に対して強硬な姿勢をとっていく、例えば米中の経済を切り離していく中で、日本企業も中国との関係を縮小していくべき、との主張も出てくる可能性があるので、日本にとってもかなり難しい判断になる」
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