逆風のなか再選を果たした兵庫県の斎藤元彦氏(47)。県民が一転して支持へと変わるきっかけは何だったんでしょうか。
■兵庫県民に聞いた 斎藤氏なぜ勝った?
40代 斎藤氏に投票 「色々、県のためにやっていただいた。そういうところ」
34歳 斎藤氏に投票 「前回も色々子育て関係でしていただいたりとか、色々ありましたけど切り替えて頑張って下さるという演説されていたので、それに期待して入れさせてもらいました」
60代 斎藤氏に投票 「あれだけのことがあったのにやっぱり貫き通したっていう信念であったり、普通はもう無理じゃないですか」
19歳 斎藤氏に投票 「自分ニュースとかあんまり見ないですけど、調べてみたら斎藤さんはすごい。メディアは正直見てない」 「(Q.SNSとか?)tiktokとか(を見てる)」 「(Q.SNSの情報はどの程度信用する?)僕は100%信じますね」
斎藤氏の勝因は、皮肉にもかつて自らを批判していたというSNSだとみられます。
兵庫県知事に当選 斎藤元彦氏 「SNSで色んな人が自分で私の政策を整理していただいたりして、動画とか発信して拡散していただいたことも非常に斎藤の政策を理解していただくうえですごく重要だった」
群衆が構えるスマートフォンの光に包まれる斎藤氏…。逆風を跳ね返したSNSの力とは何だったのでしょうか。
■なぜ勝てた?“斎藤旋風”の正体は
選挙中、ネット上で急激に広がったのが「パワハラはなかった」といった根拠不明の主張などでした。
20代の有権者 「TikTokとかだったら斎藤知事は本当は悪くないとか」
60代の有権者 「こんなパワハラの人になんで、皆あれやて。あれはマスコミが勝手に作っているから。インターネット調べたら、Xとかならちゃんと言っているから」
30代の有権者 「私も勘違いしていたタイプで。自分で見て調べていくと、やっぱり全然違うことが分かって。それから応援しています」
兵庫県職員へのアンケートでは回答者のおよそ4割が知事のパワハラを「見聞きしたことがある」と答えています。
兵庫県職員へのアンケート 「あれがパワラでなければ、何がパワハラになるのか分からないレベルの怒り方だった」
斎藤氏も「パワハラかどうかは百条委員会などが判断する」としていて、その結果は出ていません。
「NHKから国民を守る党」の立花孝志氏(57)は、自身の当選を目指さず、斎藤氏の応援に回る異例の立候補をしました。
「NHKから国民を守る党」 立花孝志氏 「彼は何一つ悪いことしてないんですよね。犯罪どころか違法行為もしてないし、パワハラもしてないんですよ。最後、皆で謝りましょう。斎藤さん疑ってごめんなさい」
こうした言葉が、ネット上で広がったとみられます。
ネット上の声 「パワハラやおねだりした証拠は一切なし」
斎藤陣営が管轄しないところで、斎藤氏を応援するネット上のグループがあり、その人たちがSNSを拡散したとみられます。
斎藤氏を支持しているというユーチューバー。会場を訪れた人の応援メッセージを撮影し、配信していました。
普段は「自然栽培で育てるバラ」をテーマに動画を作っていますが、斎藤氏に関する動画の再生数は、その10倍だといいます。
選挙戦終盤になると、斎藤氏自身も疑惑について語りました。
斎藤元彦氏 「メディアの報道が本当に正しいのかどうか。“おねだり”と言われましたけど、“おねだり”なんか私はしていないんです。県産品のPRですから。20メートル歩いて怒るわけがないんです。しっかりと動線を確保してほしい」
そして、斎藤氏は見事、当選を果たしたのでした。
■逆風→支持へ いつから変わった?
ソーシャルメディアを研究する専門家は今回、斎藤氏支持に関する投稿と不支持に関する投稿のデータを分析しました。
東京大学大学院 鳥海不二夫教授 「(先月)27日に立花孝志氏が斎藤氏を応援すると投稿している。複数のインフルエンサーが、斎藤氏を支持すると表明したのが27~29日。その辺りを境に斎藤氏を支持する投稿が増えてきた」
また、選挙におけるテレビなどメディアの報道とインターネット上の情報について、こう指摘する専門家もいます。
AIエンジニア 安野貴博氏 「(有権者が)既存のメディアではなくネットの情報を自ら取りに行こうとした。既存のメディアの情報とフェイクもたくさんあるが色んな情報があふれているネットを見た時に、今の有権者がどちらを信頼しようとしているのか、しっかり受け止めないといけない。その事実について既存のメディア側もどういう情報を出していけばいいかを考えるタイミングにきている」