「103万円の壁」の見直しを巡って地方自治体が緊急の議論を行いました。税収が減ることで私たちの生活にはどんな影響が出てくるのでしょうか。
■“103万円の壁”自治体が緊急議論
新たな経済対策を巡って行われる政策協議。焦点の一つ、年収103万円の壁の見直しについてはどう盛り込まれるのでしょうか。
帝国データバンクが行った企業アンケートによると、およそ9割の企業が103万円の壁の引き上げに「賛成」、もしくは「撤廃すべき」と回答。
共同通信が行った電話調査でも、およそ7割が見直しに「賛成」、もしくは「どちらかと言えば賛成」と答えました。
その一方、地方自治体からは見直しに不安の声が上がっています。
千葉市 神谷俊一市長 「千葉市におきましても住民税の減収は約253億円に上る見込みでございまして、住民サービスの確保に極めて深刻な影響を及ぼしかねない懸念があります」
18日に開かれた指定都市市長会議で懸念が示されたのは、所得税の非課税額を国民民主党が求める178万円まで引き上げた場合、地方自治体に入る税収が個人住民税だけでおよそ4兆円減ることについてです。
指定都市市長会は、見直す必要性には理解を示す一方、減収分の穴埋めをするよう国に強く求める意見表明を発表。
神戸市ではこども医療費や難病などの医療費助成、敬老バスや福祉バスなど県独自に行っている住民サービスに影響が出るとしています。
神戸市 久元喜造市長 「例えば神戸市で言うと、こういうものを切っていかないと対応できないという一つの例で申し上げたわけです。減収に伴う代替財源をしっかり確保していただきたいと」
複数の自治体は地方交付税などを含む減収の見込み額を公表し、住民サービスが低下する恐れがあると訴えます。
宮城県 村井嘉浩知事 「国民民主党がおっしゃっているような形でもしやった場合は、たちどころに財政破綻するだろうと思います」
熊本県 木村敬知事 「減収になるということは、その分だけ住民サービスが低下してしまいますし、きめ細やかなサービスがやめざるを得なくなってくる」
税制改正を巡る103万円の壁の見直しについては、これから議論が本格化します。