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【尹大統領が戒厳令宣布】与党退場で弾劾不成立“政局混迷”秩序破壊で内乱罪の適用は

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韓国の尹錫悦大統領は12月3日夜、国会での野党の行為について「内乱を画策する明白な反国家行為だ」と主張し、戒厳令を宣布した。一切の政治活動を禁止し、メディアも管理下に置く内容だ。尹大統領は、「予算までも政争の手段として利用する共に民主党の立法独裁で国政は麻痺し、国民のため息は増えている」と批判した。韓国での戒厳令は45年ぶりとなる。しかし、韓国の国会は4日未明の本会議で、戒厳令の解除を要求する決議案を可決させ、尹大統領は戒厳令の解除を余儀なくされた。

尹大統領の戒厳令宣布による混乱を受け、与党「国民の力」の韓東勲代表は6日、「大統領の憲法上の権限を停止させる必要がある」と述べた。しかし、「国民の力」として尹大統領の弾劾訴追には反対する方針は変えなかった。尹大統領は7日、弾劾解除後、初めて公の場に姿を現し、国民に向けて謝罪するとともに、「私の任期も含め、今後の政治情勢を安定させるための措置を党に一任する」と発言した。韓国国会がこの日の夜、本会議で行った弾劾訴追案の採決では、「国民の力」議員は1人を除いて退席。数人の与党議員が国会議長らの呼びかけに応じて議場に戻ったものの、弾劾訴追案は、議決に必要な定足数に達せず、不成立となった。最大野党「共に民主党」は尹大統領の弾劾訴追案を国会に再提出すると表明した。「国民の力」の韓東勲代表は8日、「退陣前でも大統領は国政に関与しない」と強調した。

尹大統領が戒厳令の宣布直後、主要政治家の逮捕と軍投入を直接指揮した情況が明らかとなってきた。韓国・聯合通信によると、尹大統領は3日の戒厳令宣布の直後に、洪壮源・国家情報院第1次長に対して、「この機会にすべて捕まえて整理せよ」と伝達し、軍支援の要請を行った。洪氏はその後、呂寅兄・国軍防諜司令官に尹大統領の指示を伝え、呂氏は逮捕対象者名簿を読み上げ、逮捕のために所在を追跡するよう要請した。名簿には、「共に民主党」の李在明代表や禹元植・国会議長に加え、与党「国民の力」の韓東勲代表も含まれていた。

尹大統領が戒厳令を出した後、約300人の戒厳軍兵士が、京畿道の果川中央選管庁舎、水原選挙研修院、また、ソウル冠岳庁舎に出動していたことも明らかとなった。韓国軍は、職員5人の携帯電話を押収し、約3時間20分にわたり捜索した。今年4月の総選挙では与党が大敗しており、戒厳令宣布を進言した金龍顕前国防部長官は中央選管への捜索の理由について「不正選挙疑惑を捜査するか判断するため」と韓国メディアの取材に答えている。この総選挙をめぐっては、保守系のユーチューバーらが「不正選挙だった」と一方的に主張していた。

韓国の最大野党「共に民主党」は尹大統領ら8人に対し内乱罪での告発も行っている。告発されたのは、尹大統領のほか、金龍顕・前国防部長官や戒厳司令官を務めた朴安洙・陸軍参謀総長ら8人。刑法87条の内乱罪は、「大韓民国の領土の全部または一部から国家権力を排除したり、国憲を乱そうとしたりする目的で暴動を起こす」と規定されており、死刑判決もありうる。大統領の不逮捕特権は適用の対象外だ。

大統領夫人のスキャンダルも政権への逆風を強めていた。夫人の金建希氏を巡っては、検察が「ドイツモーターズ株価操作疑惑」は不起訴処分、高級ブランドのバッグを受け取った疑いについては、嫌疑なしで不起訴処分とした。その一方で、2022年6月の国会議員補欠選では、与党「国民の力」の公認候補選びに不当に介入したとされる疑惑が浮上したため、検察は「国民の力」本部を家宅捜索していた。

★ゲスト:牧野愛博(朝日新聞元ソウル支局長)、伊藤弘太郎(法政大学特任准教授) ★アンカー:杉田弘毅(ジャーナリスト/元共同通信論説委員長)

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