新型コロナウイルスの緊急事態宣言で自宅で過ごす機会が増えていると思いますが、今回は自宅にアートな作品がいっぱいという素敵なご夫婦を紹介したいと思います。
高松市郊外にある野崎聖二さん、真弓さん夫妻が暮らすお家には、ワクワクするような手作りのアートであふれています。
龍、カマキリ、カブトムシ…今にも動き出しそうなたくさんの生き物たち。これ全部、竹細工なんです。
(記者レポート) 「このニワトリの竹細工、くるくる回すと、えさをついばむような『からくり』が仕掛けられているんです」
子どもや孫たちが楽しめるようにと、遊び心あふれる昔ながらのおもちゃもそろっています。
部屋一面に飾られた竹細工の数々。聖二さんの作品もありますがこれらは主に、妻・真弓さんの父親が約20年かけて作ってきました。
聖二さんは義父が作る様子を見て竹細工に興味を持ち、定年退職を機に竹細工の学校に入学。半年かけて基礎を学んだことで、義父の技術の高さを実感したといいます。
(野崎聖二さん) 「実際自分がやってみてですね、その大変さが身に染みて分かりまして、これはもうちょっと大切に残していかないかんなということで」
何か自分で形あるものを作っていきたいと始めた竹細工。小刀や火の熱を使って竹を曲げ、昆虫の繊細な動きを表現していきます。
現在は、義父の仕事を大切に残していきたいと、痛んだ作品の修復や手直しに取り組んでいるといいます。
(野崎聖二さん) 「やはり、ナイフの使い方、ろうそく、火の使い方によって全く竹の曲がり方(そういったものが)変わってきますのでね。そこのあたりは私なんかが、まだ初心者ですけども、ベテランにコツを教えてもらわないとできないと思う。そういう意味ではとても難しい」
時が過ぎることも忘れ、無心で制作に打ち込む聖二さん。繊細な作業からいきいきとした「生命力」を表現することもこだわりのひとつです。
(野崎聖二さん) 「全く同じ昆虫にしてもね、同じものばかりじゃないですから、ひとつひとつに個性があるようなものを作ればいいんじゃないかと(いうようなことだろうと思うんですよ)」
ほかにも、孫たちと遊んだ思い出の川辺や、日本伝統の鵜飼いの風景。作品たちの個性を生かしストーリーを描いていくことも制作の楽しみです。
(野崎聖二さん) 「やはり形として残っていきますから。その時のひとつひとつの作った時の思い出、まあいろいろありますからね、(そういうのに関してはいいんじゃないかと思いますよ)」
竹と向き合う静かな時間、ものづくりの楽しさを味わわせてくれます。
妻の真弓さんもものづくりが日々の楽しみです。昔から好きだった裁縫や小物づくりを、子育てを機に本格的に始め、今では孫のおもちゃや知人へのプレゼントなども作っているといいます。
中でも多く作っているのが、着物や帯をリメイクしたバッグや小物です。 レトロなコーヒーバッグと組み合わせることで、日常に溶け込むオリジナルの一点ができあがります。
使う着物や帯は、知人から譲り受けたものがほとんど。「捨てるくらいなら」とリメイクしたのがはじまりです。
使用する生地は、親の代から残るものや当時の職人の高い技術で仕立てられたものなど、貴重なものばかり。 着物としての役目は終えても、その美しさを生かして作り変えることで、もう一度命を吹き込むことができます。
(野崎真弓さん) 「(大事に大事に)受け継いでいくっていう、引き継いでいくっていうことも、私らの代だったらまだ(それが)着物の大切さとかね、分かるんです。だからそれを、みんなの思いがこもっているものを大事に残していこうと思って」
他にも、風呂敷でマスクを制作し、余った生地でおそろいのブローチとお手玉を作ったり、今では珍しい酒屋の店員が使っていたレトロな袋をトートバッグに仕立て直したりと、アイデアが詰まった作品を作り続けています。
(野崎真弓さん) 「作るだけじゃなくて、それを飾って楽しいし、差し上げたらもっと喜んでくれて笑顔が広がるじゃないですか。そしたらまたそれを見て私ももっとうれしい気持ちになるので」
何を作ろう、何に変身させよう。ワクワクから生み出されたオリジナルの作品が笑顔の輪を広げていきます。
お互いに、これからも楽しんでいろいろなものを作ってほしいと話す野崎さん夫妻。
(野崎聖二さん) 「もっともっとクオリティーの高いものが作れるように頑張って、制作を続けていきたいと思っています」
(野崎真弓さん) 「そのためには秋冬頑張って二人で野山を駆け回って、材料を調達しましょ!」
アートであふれるこの家で、ものづくりに励む楽しさが2人の毎日を明るく彩っています。