岡山市の中心部では商業施設が相次いでリニューアルしています。イオンモール岡山は開業以来約7年ぶり、天満屋岡山店は約3年ぶりの大規模リニューアルをしました。それぞれの狙いとは?
イオンモール岡山には新たに22のテナントが
(松木梨菜リポート)
「オープン7年目を迎えるイオンモール岡山では、新型コロナ禍ですけれども客足は戻りつつあるといいます。そうした中でより多くの人に来てもらおうと、体験型をキーワードにこの度リニューアルしました」
(イオンモール岡山/小野大輔 ゼネラルマネージャー)
「新型コロナの情勢下の中で、家の過ごし方とかアウトドアとかお客様の関心事も変わってきたと思いますけれども、お客様の要望に足りるようなお店が今回出店しています」
3月11日にリニューアルしたイオンモール岡山には新たに22のテナントが入りました。
中四国初出店のアウトドア専門店「スポーツオーソリティ アウトドアステージ」では、実際にキャンプをしているかのような雰囲気を味わえます。
岡山県初出店の「ホビーゾーン」は、新型コロナ禍で人気が出ているジグソーパズルやプラモデルを多くそろえています。
新規出店だけでなく、おしゃれな生活雑貨などを300円で販売する「スリーコインズ プラス」は、売り場を2倍に拡大しました。こちらでは時短調理グッズが人気。このほかキッズコーナーや食品コーナーも充実しています。
こうした大規模リニューアルは2014年12月の開業以来、初めてです。
今回のリニューアルを合わせてイオンモール岡山では、この1年で約330あるテナントのうち52のテナントが入れ替わっています。
(イオンモール岡山/小野大輔 ゼネラルマネージャー)
「アウトドアでいうと、実際にテントの中に入ってみて、これがうちの家族に合ってるなとか、そういった肌で感じるような部分、シーンがあると思うんです。このモールで時間を楽しくお過ごしいただける。時間消費って言葉ありますけれども、それにしっかりお応えできるようなモールにしていきたい」
天満屋岡山店は28のテナントがリニューアル
リニューアルは岡山市北区の表町地区でも――。
(松木梨菜リポート)
「こちらの岡山ロッツは、先月末をもって閉店しましたけれども、ここに入っていた核テナントの一つが向かい側の天満屋岡山店に入りました」
3月、28のテナントがリニューアルした天満屋岡山店。目玉の一つは岡山ロッツから移ってきた「ロフト」です。
ターゲットは30代から40代。これまでデパートに馴染みのなかった若い世代を呼び込みます。文具や化粧品、雑貨など約1万7000点を取りそろえています。
(20代の大学生は―)
「いろんなものがワンフロアで一気に見られるようになっているので、来て楽しいなって感じます。ロフトがあるから行こうかなってなって、そのまま天満屋の上の階とか地下とか食べ物見に行ったりっていうのがルートになってますね」
(天満屋岡山店 販売計画チーム/加藤秀章 部長)
「年齢の高い方にずっとご愛顧いただいてきている背景もありまして、これからもう少し幅広くお客様に、40代・30代あるいは高校生まで、そういった幅広いお客様にも来ていただきたいと思いまして、今回リニューアルをさせていただいております」
新型コロナ禍で変化した「ライフスタイル」。おうち時間を充実させる睡眠やルームウェアに特化した専門店も新たにオープンしました。
約3年ぶりとなる大規模リニューアルの狙いは、若い世代にデパートの良さを感じてもらうことです。
(天満屋岡山店 販売計画チーム/加藤秀章 部長)
「百貨店のリアル店舗に来ていただくと、そこに販売員がいて、天満屋の接客を通じて普段の生活が豊かになる商品選びができるのではないかなと思います」
近隣の表町商店街も期待を寄せています。
(岡山市表町商店街連盟/長谷川誠 理事長)
「(岡山芸術)創造劇場の工事が進んでおりまして、来年の9月にグランドオープン。年配の方から若い方に向けて、この街が一つのいろんな機能を発信していく、発揮していくということで、ますます楽しみ、わくわくといいますか、そんな気持ちでいます」
エブリイOkanaka津高は「無印良品」を誘致
リニューアルの動きはこれだけではありません。岡山市北区の商業施設「エブリイ Okanaka津高」もリニューアルを発表しています。
2022年の秋までにフードコートを改装し、「無印良品」を誘致します。2017年の開業以来初めての大規模のリニューアルです。
運営するエブリイホーミイホールディングスは、無印良品の誘致などで「食以外に生活・暮らしの提案ができる施設を目指したい」としています。
大規模なリニューアルが相次いでいる理由は?
なぜ今、大規模なリニューアルが相次いでいるのか。専門家は店づくりを強化する背景に私たちのショッピングの「変化」をあげています。
(日本政策投資銀行 岡山事務所/小林貴史 所長)
「ネットショッピングの利用額、そして利用割合。月を追うごとに高まってきている。そういう状況の中で、実際に店舗を構える商業施設がどうやって対応していくのか」
総務省の家計消費状況調査によると、2人以上の世帯でネットショッピングを利用する割合は年々上昇しています。2021年の調査では、半数以上の世帯が使っていました。
(日本政策投資銀行 岡山事務所/小林貴史 所長)
「顧客の体験価値をリアルな売り場で提供する、そういう動きだと思っているんです。手で触って、機能を含めて確かめたいっていう、そういうニーズは底堅くあると思っていて。来店数をあげる仕掛け、生き残りなんだと思います」
消費者は「インターネット」と「実際の店舗」、それぞれの特徴を踏まえて「買い方」を選ぶことができます。
(日本政策投資銀行 岡山事務所/小林貴史 所長)
「日常のものとか、家まで届けてくれるものだとすれば、ネットショッピング。店舗を往訪して選ばなきゃいけないもの、選びたくなるもの、そういった選別、選択肢が消費者側にとっても増えてきているところがある」