7月行われた夏の高校野球・香川大会。直前の部員のケガにより出場を辞退した善通寺一高に特別な舞台が用意されました。
部員9人の善通寺一高は試合ができる最少人数でこの夏に挑みました。小学4年の頃からバッテリーを組む3年の岡嶋慶一郎と幸元優歩も、最後の夏に向けて練習に励んできました。しかし、1回戦の前日、部員の1人が練習中にケガをし、出場辞退を余儀なくされました。
(善通寺一/岡嶋慶一郎 選手[3年])
「喪失感っていうか、もう終わってしまったっていう感じがずっとあった」
戦うことなく夏を終えた善一に、香川県高野連は初戦の相手だった高瀬との特別試合を用意しました。
(善通寺一/幸元優歩 選手[3年])
「最後の試合が無くなって落ち込んでいたんですけど、2人で活躍する場が最後にできたのはとても嬉しくて」
約1カ月越しにかなった夏の一戦……。
善一の先発は2年の小川。キャッチャーとして幸元が支えます。しかし、7回までに5点を奪われるなど高瀬にリードを許してしまいます。
8回ウラ2アウトでなおもピンチの場面で、岡嶋がマウンドに上がります。小学生の頃からバッテリーを組んでいた幸元がマウンドに駆け寄ります。
(善通寺一/幸元優歩 選手[3年])
「これで最後なんで、いつも力んでしまう癖があるので、そこを注意して最後まで全力で楽しんでいこうって」
9年間を締めくくる「最後のバッテリー」。守備の乱れなどで失点しますが、最後は三振を奪い9回の攻撃につなげます!
9回、ランナー2塁1塁のチャンスを作ると、岡嶋のショートゴロが相手のミスを誘い1得点。敗れはしましたが、善通寺一高は、1カ月遅れでやってきた夏を堂々と戦い抜きました。
【高瀬 8-1 善通寺一】
(善通寺一/岡嶋慶一郎 選手[3年])
「自分のことをしっかりできたんで、やり切れたので、悔しさは無い」
岡嶋「9年間ありがとう。そしてこれからも仲良くやっていきましょう」
幸元「僕も9年間ありがとうって言いたくて、おじいちゃんになっても野球しよう」