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【解説】岡山空港の国際線再開で高まる期待 インバウンドに加え県外からの利用増も

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 今回は「インバウンド」について解説します。コロナ禍前の2019年のインバウンドの観光消費額は1年で約4兆8千億円だったという調査結果もあります。新型コロナの影響で大きく落ち込んだインバウンド回復に向けて期待されるのが、国際線「再開」の動きです。

岡山空港国際線が続々再開 観光地でもインバウンドに期待

 岡山空港では4路線あるうちの2路線、台北線と上海線が定期運航を再開。そして10月下旬にはソウル線も定期便が再開予定です。高松空港では4路線全てが定期便の運航を再開しています。

 好調な路線もあり、観光地でもインバウンドへの期待感が高まっています。

(松木梨菜リポート)
「日本三大名園の一つ岡山後楽園です。平日のきょうも外国人観光客の姿が多くみられます」

(岡山県後楽園事務所/石井謙次 所長)
「平日は後楽園に入って来られる方の3割から4割が外国の方。非常に増えた印象ですね」

 2022年10月、国が外国人の個人旅行の入国を解禁して以降、岡山後楽園では外国人観光客が回復傾向にあります。

 岡山ー台北線の運航が再開した2023年3月には1カ月の外国人の来園者が1万人を超えました。1万人を超えたのはコロナ禍前の2019年11月以来だということです。

 岡山空港ターミナルによりますと、岡山ー台北線は特に利用が好調です。8月の搭乗率は93.3%、利用者数は1万人を超え、コロナ禍前の2019年8月を上回りました。

 好調な理由について地域経済に詳しい専門家は……。

(日本政策投資銀行 岡山事務所/森脇大輔 所長)
「ローコストキャリア(LCC)で、単価が比較的安いところも人気なんじゃないかと」

 岡山後楽園の外国人観光客で最も多いのは、台湾からの観光客だということです。

(台湾からの観光客)
「岡山桃太郎空港を使って。ここには初めて来ました。インターネットでここが有名な庭だと知って」

 こちらの家族は岡山に3日間滞在したそうです。

 一方で、関西国際空港から入国した中国の観光客もいました。

(中国からの観光客)
「大阪の空港から入国しました。JRの新幹線を使ってここまで来ました。とても美しくて眺めが最高です」

(岡山県後楽園事務所/石井謙次 所長)
「消費の力、購買力ってあると思うんですね。ダイレクトに影響があると思いますので、地元の空港に便ができるということは。全て復活してほしい。早く復活してほしいなと思います」

地元空港の利用で得られる効果は

 日本政策投資銀行によると、2019年に岡山県を訪れた外国人観光客のうち約3割は岡山空港を利用していました。香川県では約6割が高松空港を、広島県では約1割が広島空港から出入国しました。

 この3県の外国人観光客の1人あたりの消費額を比べてみると、地元空港を利用した割合が最も低かった広島県では2万955円でしたが、岡山県では3万4499円、そして香川県では5万848円でした。

 旅の最初と最後で地域の空港を利用することで宿泊や土産物の購入につながっていることが要因だということです。

増える海外旅行の“選択肢” 航空券代が安く済む場合も

 岡山空港ではこれまでに、台北線と上海線が定期運航を再開し、ソウル線も10月29日に定期運航が再開予定です。ソウル線再開には韓国以外からの集客も期待されています。

(岡山県後楽園事務所/石井謙次 所長)
「ヨーロッパやアメリカから来られる方もたくさんいらっしゃるんで、韓国の空港を経由して来ていただいたらありがたいなと思います」

 ソウル線の定期便再開で期待されているのが韓国の空港をトランジット(経由)してヨーロッパなどから岡山に訪れる人が増えることです。

 反対に岡山からも「世界」に行きやすくなります。

 例えば、岡山ーソウル線は1時間半ほどでアジアのハブ空港といわれる韓国の仁川空港に到着します。仁川空港でヨーロッパやアメリカなど各地へ向かう便に乗り継ぐことができます。

 また、旅行会社のエイチ・アイ・エスによると、アメリカのロサンゼルスに行く場合、関西国際空港から日本航空の便で直接向かうよりも大韓航空の岡山ーソウル線で仁川空港を経由した方が、空席状況などで変動はありますが、航空券代が6万2000円ほど安くすむということです。

 実際にエイチ・アイ・エスでは岡山から旅立つツアーをすでに検討しています。

(エイチ・アイ・エス 中四国事業部 ツアー企画チーム/岡安勇樹さん)
「関西・東京まで行かずに岡山空港から海外旅行、東南アジア・アメリカへのアクセスが可能になります」

 エイチ・アイ・エスが岡山ーソウル線再開に合わせて準備しているのが、仁川空港を経由してアメリカのロサンゼルスやシンガポールなどの東南アジアに向かうパッケージツアーです。

(エイチ・アイ・エス 中四国事業部 ツアー企画チーム/岡安勇樹さん)
「できれば10月中に(ツアーを)造成してお客さまに届けたいと思っています。需要は大きく見込めると思っています」

 専門家もこうした動きによって岡山空港の「県外」からの利用も増えるのでは、と期待を寄せています。

(日本政策投資銀行 岡山事務所/森脇大輔 所長)
「岡山空港は3000台近い無料駐車場がありますので、ロングステイの場合に遠くからでも岡山空港から飛び立っていかれる方がいらっしゃると聞いております。岡山空港から海外に、海外から岡山空港に入ってくるのが増えてくるのを期待したい」

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