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【解説】なぜ?行政・企業がマイクラ、VR、メタバース…バーチャル技術活用の背景は 専門家「観光分野での可能性に期待感」

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 仮想空間などを作り出すバーチャル技術。最近では旅行や工事現場の体験などビジネスの分野にも用途が広がっています。企業などはなぜ、バーチャル技術を活用するのでしょうか。

 5月27日、四国地方整備局は親子向けの工事現場の体験見学会をリニューアルしました。

(松木梨菜リポート)
「こちらのVRゴーグルをつけるとまだできていない道路の状況を見ることができるということです。つけてみます、今ちょうど道路を降りているところなんですが、高架の高さまで把握することができます」

 見えているのは建設が進められている愛媛県・松山外環状道路の完成後の様子です。仮想空間などを作り出すVR、バーチャル・リアリティの技術が使われています。

 体験だけでなく実際の工事現場でもこの技術が活用されています。

 フェリーターミナルを整備している高松市の現場では、完成後の様子をVRで確認することでスムーズに工事を進めています。

(四国地方整備局 企画課/合谷龍馬 課長)
「部品と部品がぶつかることであったり、そういったものが3D化することによって分かるようになるメリットもあります」

 四国地方整備局はこの他にも人気ゲーム「マインクラフト」を使って、ゲームの中に「国営讃岐まんのう公園」を再現しました。

 仮想のまんのう公園でブロックを組み合わせて町並みをつくることができます。

 2024年3月に四国地方整備局のホームページにデータを公開していて、無料でダウンロードできます。

 こうした取り組みは子どもたちをターゲットにしていて、そこには「将来の担い手」を確保したいという思いがあります。

(四国地方整備局 企画課/合谷龍馬 課長)
「お子さんにも建設業に興味を持って今後の進路の一つとして考えてもらえればいいなと考えています」

 一方、観光業でもインターネット上の仮想空間「メタバース」を使った取り組みが進められています。

 29日、トモニホールディングスグループと全日空のグループ企業が開いたバーチャル旅行の体験会には企業25社が参加しました。

 「ANA NEO」はメタバースを使って国内外の観光地をバーチャル旅行できるアプリ「ANA GranWhale」を全国の金融機関から支援を受けて2023年12月にスタートしました。

 利用者はアプリの中でアバターと呼ばれる自分の分身を操作して国内外の67カ所を観光することができます。

 メタバース内の通貨を集めるとマイルに交換することも可能です。この他、その土地で実際に販売されている特産品などを買うこともできます。

(うどん本陣 山田家/桧山幾男さん)
「旅行体験をしながら商品を選んで購入できる部分は非常におもしろいなと。今後世界に向けて輸出ってことも踏まえて検討させていただいていますので、ぜひチャンスをものにできるように前向きに捉えていきたいと思っています」

 バーチャル旅行を提供するその狙いは――。

(ANA NEO/冨田光欧 社長)
「われわれのようにリアルの航空事業、リアルな移動を持っている会社がやることによって、リアルと仮想空間、リアルとバーチャルの連動性をつくりあげていけるというのがきっかけになります」

(トモニホールディングス/中村 武 社長兼CEO)
「香川県のお客さまにとって大きなビジネスチャンスとしてなり得るものだと、早めに経営戦略の一環に位置付けていただけることは意義のあることだと考えています」

 総務省が2022年9月に発表したメタバースの国内の市場規模では、2021年度は国内で744億円だったものが、2026年度には1兆円42億円にまで拡大すると予測されています。

 総務省は急拡大する理由としてバーチャル展示会やショッピング体験などの利用が増えていることを挙げています。こうした中で、特に「観光分野」は今後注目を集めそうだという見方もあります。

(香川大学経済学部/西成典久 教授)
「全く異なる世界のバーチャルリアリティではなく、実際の観光で有名な場所に訪れることができるという意味では実空間ともつながっている。そこは非常におもしろい展開だと思うんですね」

 地域経済に詳しい香川大学経済学部の西成教授はメタバースの観光分野での可能性に期待感を示します。

(香川大学経済学部/西成典久 教授)
「コロナ禍を受けてオンラインツアーやバーチャルリアリティ、そういったものが広がりを見せていったと思います。いろんな企業が模索しているところだと思うんですよね。試して、その上で市場をどこが獲得していくのか競争の段階にあるんじゃないかと思います」

 西成教授は行政を含め地域全体で取り組むことが観光客の誘致につながると考えています。

(香川大学経済学部/西成典久 教授)
「公的なセクターが入ってくると多くの人がそこにアクセスしやすくなる。一つのプラットホームを作れるという意味ではメリットが出てくると思います。他の自治体との競争にもなっていきますので検討したほうがいいのではと思います」

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