南米・ペルーなどを中心に16世紀ごろまで栄えた「古代アンデス文明」。当時作られたユニークな土器が、どのように使われていたのか……その謎に迫る実験が岡山大学で行われました。
個性的なデザインが目を引く「笛吹きボトル」。約2000年前に使われていた実物とレプリカです。
古くから親しまれてきたトウモロコシのお酒「チチャ」を注ぎ、ゆっくりと揺らしてみると、笛のような音が鳴る仕組みです。
「笛吹きボトル」は元々、神様に「お酒」と「音」を捧げる道具だったと考えられていますが、後に大量生産が始まり、古代アンデス文明が栄えた南米・ペルーなどを中心に大流行したといいます。
そこで、中南米の歴史や文化に詳しい「BIZEN中南米美術館」の森下矢須之館長と岡山大学や岡山県立大学の教授らが、12日初めての実験を行いました。
(BIZEN中南米美術館/森下矢須之 館長)
「古代アンデスでは供宴、宴会が、地位の高い人たちがゲストを招いて頻繁に開いていたことが分かっています。笛吹きボトルに入れて揺らすと、チチャ酒の味が変わるのではないか。味や香りを変化させて飲んでいたのではないか」
笛吹きボトルは、古代人の「宴会」でも使われていた!?
発想のヒントになったのは、備前焼で再現した「笛吹きボトル」。赤ワインなどを入れて揺らすと、空気に触れて味がまろやかに変化したことから、古代の人々もそのように使っていたのでは、と森下館長は考えました。
「チチャ」を注いだボトルを7回揺らして、飲み比べをしてみると……。
(森下館長ら)
「変化はありますね、酸味が強くなりましたよね。よりパンチがきいた感じ」
「甘い香りが……」
「本当だ」
「揺らした後は芳醇な、甘い香りがします」
見た目はほぼ同じですが、味と香りに変化が。酸性・アルカリ性の度合いを示す「pH」の数値も、わずかに違いがみられました。
(BIZEN中南米美術館/森下矢須之 館長)
「想像したものとは違いましたが、変化があったことは確かなので当時はそういう味が好まれていたのかも」
森下館長は、今後も「笛吹きボトル」の研究に取り組みたいと話します。
(BIZEN中南米美術館/森下矢須之 館長)
「チチャにもいろんな原料、素材によって味や香りが違うので同じように試験してみたい」