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【日米関税交渉2回目】6月の大枠合意に照準“トランプ100日”支持亀裂に失望感

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日米両政府は5月1日(日本時間2日未明)、首都ワシントンで第2回関税交渉を開催した。日本側の交渉役を務めた赤沢経済再生担当大臣は、5月中旬以降に閣僚級協議を集中的に開催することで米国側と合意したと明らかにした。米国側からはベッセント財務長官、グリア通商代表部(USTR)代表、ラトニック商務長官が出席し、約2時間10分にわたる議論が交わされた。赤沢氏は交渉の中で、相互関税や自動車関連の追加関税の見直しを強く求めたうえで、日米間の貿易拡大、非関税障壁の是正、経済安全保障分野での協力の3点を中心に、踏み込んだ議論を展開したと説明した。赤沢氏は、「率直かつ建設的な議論を実施し、前進することができた」と述べた。一方で、為替や防衛関連の安全保障問題は議題に上らなかった。石破総理は「建設的な議論だったと報告を受けた。しかしながら、一致点というのは見出せる状況には今のところなっていない」との認識を示した。一方、協議に臨んだベッセント財務長官は2日、日米関税交渉の進展を受け、「日本が米国と迅速かつ前向きに取り組んでいることに、引き続き、勇気づけられている。両国間の重要課題について、近いうちに合意に至ることを期待する」と自身のSNSに投稿し、交渉の前進に楽観的な見通しを示した。

米国側が自動車や鉄など分野別の関税について、引き下げ交渉の対象外と主張していることが3日に明らかとなった。石破総理は5月1日、東京都内のホテルでトヨタ自動車の豊田章男会長と45分にわたり会談し、トランプ政権の関税措置が日本自動車産業に及ぼす影響について意見を交わした。赤沢氏は同日、「日本の自動車メーカーは、ある企業では1時間ごとに100万ドル(約1億4500万円)の損失を被っている」と業界の深刻な状況を明らかにした。石破氏は2日、出演したフジテレビの番組で自動車関税に言及し、「自動車に代表されるような関税は絶対に受け入れられない」と強い姿勢を示した。日本自動車工業会によると、2024年の自動車部品の対米輸出額は7兆2000億円に上り、業界の就業人口は558万人で、国内就業者の12人に1人が自動車関連に従事している。

米国は、コメをはじめとする農産物の市場開放を強く求め、これに対し、日本は米国産トウモロコシや大豆の輸入拡大を提案した。自動車に関しては、米国は日本の安全基準や非関税障壁の撤廃を要求、米国車輸出の障壁低減を主張。日本側は、輸入車の認証制度緩和を提示し、相互の市場アクセス向上に向けた調整を求めている。貿易・投資分野においては、米国は対日貿易赤字の解消を目指し、赤字ゼロを目標に掲げる。一方、日本は対米投資の実績や米国での雇用創出を強調し、造船分野での投資、技術協力や液化天然ガス(LNG)の輸入拡大を提案している。日米関税交渉はなお、暫定合意に至っておらず、5月中旬から閣僚級による集中的な協議が再開される。6月15日からのカナダでのG7(主要7カ国首脳会議)を控え、日本は同時期までの大枠合意を目指す。7月4日の米独立記念日、同9日の相互関税90日間停止期限、さらには、投開票日が20日と有力視されている参院選が迫る中、交渉の時間的制約は一層厳しさを増している。

トランプ米大統領は就任100日を迎えた4月30日、閣僚級で初となるの解任劇が表面化した。国家安全保障担当のウォルツ大統領補佐官は、政権高官らと民間通信アプリ「シグナル」を通じて軍事作戦などの機密情報を共有するグループチャットに誤って米誌記者を招待していたことが発覚、機密漏洩のリスクが生じたことから事実上、解任されたとみられる。また、ヘグセス国防長官は、民間通信アプリ「シグナル」のグループチャットで、妻、弟、個人弁護士氏らと、3月15日のイエメン・フーシ派に対する米軍空爆作戦の詳細を共有していたことが、複数メディアの報道で明らかになっている。ウォルツ氏の後任候補には、ミラー大統領次席補佐官と、元下院議員でトランプ氏の盟友であるヌーネス氏の名が挙がっている。トランプ氏は、ウォルツ氏を国連大使に指名したが、政権内の動揺と外交戦略の不透明感が懸念される。

トランプ米大統領の就任から100日の4月30日、米ニュースサイト「リアル・クリア・ポリティクス」の調査により、支持率の低下傾向が明らかとなった。1月27日の就任直後の支持率は50.5%だったが、4月30日には45.1%に下落。一方、不支持率は同期間で44.3%から52.3%へと顕著に上昇した。米CNNが4月27日に報じたところによると、トランプ氏の支持率は41%に下落し、1953年のアイゼンハワー大統領以来、歴代大統領の就任100日時点で最低を記録した。米誌「ニューズウィーク」などによると、大統領選で支持を集めた激戦州、特にペンシルバニア州の無党派有権者の間で失望感が広がっていることが判明した。ある有権者は、「トランプ大統領の愚かな言動を見て、『本当にこの人に投票したのか』と自問する。もっと良くなると期待していたのに」と述べ、別の有権者は「経済のために投票したが、2期目を与えた今、下り坂だと感じ、『一体何が起こっているのか』と思う」と複雑な心境を明かした。

★ゲスト:ジョセフ・クラフト(経済・政治アナリスト)、小谷哲男(明海大学教授) ★アンカー:末延吉正(ジャーナリスト/元テレビ朝日政治部長)

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