おととい12日、山梨県・北杜市で撮影された映像。側溝に入っている鹿の死骸を、クマが黙々と食べています。200メートルほど離れた場所には高校があり、この週末、屋外での部活動は中止に。撮影した女性は番組の取材に対し「子グマだから可哀そうなんて言っていられなかった」と緊迫した当時の様子を明かしました。 この寒さの中でも、冬眠しないクマがエサを求めて人里に現れています。
■“鹿食い”クマが出没 恐怖の3分間
(目撃者)「まじクマじゃない?やばいクマじゃね?食ってる食ってる。やばい、やばい、やばい」 おととい12日の未明、山梨県北杜市の道路脇に突然姿を現したクマ。帰宅途中だった目撃者は、車内から警察に通報します。 (警察)「110番です。事件ですか?事故ですか?」 (目撃者)「あの、クマが今、目の前にいて」 (警察)「クマが目の前にいる?」 (目撃者)「クマが目の前にいるんです」 (警察)「車の中にいますか?あなたは?」 (目撃者)「私は車の中にいて、今、ライトで照らして証拠的なものを撮ってて」 (警察)「距離とってくださいね。車から絶対に出ないでくださいね」 (目撃者)「はい、大丈夫です」 クマは、体長1メートルほど、道路脇の側溝に頭を入れ、何かを食べているようです。強力なライトで照らしてもクマは微動だにせず、黙々と食べ続けます。 (目撃者)「子グマだったらちょっとかわいそう…」 「かわいそうなんて言ってられないよ」 撮影した女性は… (クマを目撃した女性)「黒いものが動いているなと思って、よく見たら目が合ってクマだってなりました。本当にいると思って怖いなと思いました」 女性は、その場に留まり、車内から約3分間、映像を撮り続けました。 (クマを目撃した女性)「ここは通学路なのでそのままだと危ないと思って、クマってわかるように撮って警察に通報しようと思って」 クマが食べたのでしょうか…シカの死骸が残っていました。 専門家によると、クマがシカの死骸を食べるケースはあり、今回は「人里近くの餌に執着し冬眠しない個体」の可能性があるといいます。 約200メートル先には、高校があり、この週末、屋外での部活動はすべて中止に…明日以降も屋外での活動を取りやめるなど警戒を続けます。 北杜市では、12月に入って、8件ものクマの目撃情報があります。
■スキー場でクマ遭遇 緊迫の一部始終
クマはシーズンが始まったスキー場にも… これは今月7日、長野県内で、一度に全方向撮影できる360度カメラで撮られた映像です。午前8時半。クマの姿が… 「クマ出たっす。やば…」 画面中央から走ってくるクマ。男性のすぐ後ろを走り抜けていきます。その距離、わずか数メートル。クマは男性を追いかける動きを見せた後、諦めたのか、山の方へ去っていきました。その間、わずか10秒の出来事でした。 クマに遭遇した男性は… (クマに遭遇した男性)「(クマとの距離)3メートルとか5メートルとかぐらいですかね。近いですよ結構。すごい驚いてました、クマは」 Q.クマが驚いていた? 「はい。ここでパッて見たときに、ここで目が合ってるんですよね。なんか『オッ』って感じで、なんか驚いてる感じの顔だったんで」 スノーボード歴32年という男性。スキー場でクマを見たのは初めてだといいます。 (クマに遭遇した男性)「クマ一瞬追いかけてきたんですけど。僕の方がやっぱスーッと早いんで、クマなんか諦めて山の方に登っていってしまった感じですかね」 (岩手大山内貴義准教授)「いわゆる襲おう、食べようと思って追っかけているわけではなくて、とりあえず本能的に追いかけてしまった。映像を見るとクマも驚いたような顔してたっていう、実際に多分そうだと思いますね。びっくりして追いかけたけど、我に帰って山に帰ってたという感じだと思います」
■クマ偽画像が拡散 善意が“誤報”に
クマを巡っては新たな問題も… 先月26日、宮城県女川町が住民から提供を受け投稿した画像。この一枚の“フェイク画像”で、町は一時騒然となりました。 (近隣住民)「こんな大きいクマって本州にいたっけ?みたいな。女川町役場の方からもLINEとかで注意みたいな感じで」 当時の状況について、町の担当者は―。 (女川町の担当者)「付近には保育園がありますので、緊急性が高いというふうに判断して、無料のアプリでは(生成AIか)確認をしてみたんです。それだとAI生成画像の可能性が低いとは出たんですね」 投稿から約5時間後、合成される前の画像を持った人物が交番で事情を説明し、フェイク画像だと確認。町は投稿を削除し、謝罪しました。 事の発端は、町で働く外国人実習生が仲間内で楽しむため、いたずらで作ったフェイク画像を、その内の1人が本物だと信じた事からでした。 (女川町の担当者)「こういったことがあると、なかなか情報を出しづらくなってしまう。クマが出たって言って、私たちが確認してから、その情報をみんな流すっていうことになりますと、ちょっと即時性がなくなっちゃうのかなと」
■AI使ったクマ偽動画 SNS拡散
善意の通報が“誤報”に変わるAI時代。 石川県七尾市にクマが出没し、行政が外出を控えるよう呼びかけるフェイクニュースや、秋田県のコンビニでクマが暴れる様子を伝えるこちらもフェイクニュース。 SNS上では、生成AIでつくられたとみられる“クマのフェイク”が拡散しています。増える“フェイク”にどう対応するか―。 (NABLAS取締役鈴木都生さん)「こちらがいろんなディープフェイクを検出するアプリケーションになっていて、いろんなAIのモデルが、フェイクかリアルかというところを判定しにいっています」 こちらの会社では、1万件以上のフェイクが疑われる画像や動画の解析を行っています。 (NABLAS取締役鈴木都生さん)「今はもう本当にアクセスして指示をうつなり、写真1枚をアップロードするなりして、誰でもいつでもどんな環境でも無料で作れてしまう」 実際に、動画を解析すると―。 (NABLAS取締役鈴木都生さん)「この動画に関してはフェイクの可能性があると、入って飛び込んできたシーン、やっぱりクマの動きあたりが不自然」 複数のAIで、総合的にフェイク動画を検出します。 (NABLAS取締役鈴木都生さん)「クマとか人であれば、毛並みであったりとか肌の質感みたいなものとか、動きとして少し不自然な部分があったり…」 女川町の画像を解析すると… 「赤くなっている箇所が、改ざんされている場所の可能性が高い」 クマと影の部分が赤くなり、改ざんした形跡が… (NABLAS取締役鈴木都生さん)「リアルな場所の画像にリアルなクマ、ないしは生成されたクマを一部、後から載せているみたいなところが可能性として考えられる。本当にある景色に近くて、だまされやすい画像になっていたのかと思います。もう人間の目では簡単には見分けがつかないレベルに正直なってきていると思います。二重、三重にチェックや検索、調査していくというところが必要かなと思います」
12月14日『有働Times』より