思い出の音を蘇らせます。倉敷市の楽器店が被災した管楽器を無償で修理していて、多くの楽器が持ち込まれています。
倉敷市宮前の中川楽器。被災した管楽器を無償で修理しています。
(中川楽器/中川啓 社長) 「ボランティアというか何ができるかなっていうので、楽器を直すことしかできないけどそれが自分の役目かなと思って」
SNSで拡散したところ、約60本の管楽器が持ち込まれました。
(中川楽器/中川啓 社長) 「これはお店に直接もってきてくださった方の楽器。開けるのが怖いっていうのが第一声で、ちょっと見てほしいって言って、ケースごとまだ開けてないんですけどって言って、持ってこられてこっちで開けてみる。もうだめかもしれんけど、見てくださいっていうのが多い」
洗浄するだけでなく、使えなくなってしまった部品も交換しています。
(中川楽器/中川啓 社長) 「フェルトの部分が水でふやけて破れてたりとかするものっていうのは、もうすべて交換してます。浸水する前より、もっといい状態を目指して、また楽しく演奏してもらいたいなっていうのが一番なので。」
初めての作業ということもあり、苦労したところもあるそうです。
(中川楽器/中川啓 社長) 「においをとるっていうのに一番最初は苦労しましたけど、超音波洗浄機とかを使って、あと一度洗っても2,3日で 乾くとまた泥が浮いてくることがあったので、今は1週間保管して確認してから組み立てる」
約200ものパーツがある楽器を組み立てるのには5時間ほどかかります。最後に動きを確認して、修理が終わります。
倉敷市真備町の藤後さん夫妻が高校生の娘が使うテナーサックスを取りに来ました。
(スタッフ) 「テナーサックス 全部分解して洗わせていただいてすぐに吹けるような状態になってるんです」
自宅が2階まで浸水し、2階の子ども部屋に置いてあったテナーサックスも水に浸かってしまいました。
7月10日に修理を依頼し、8月21日に完了しました。
(藤後さん夫妻) 「きれい。中のほうが泥たまってたもんなあ」
このあと家に持って帰り、娘に渡します。
(藤後祥一さん) 「贈呈式です。どうしようか開けてみようか」 (藤後まさ子さん) 「見たいよな」 (藤後咲智華さん) 「見たいな」
高校3年生の娘、咲智華さんは中学生でサックスを始め、今は受験勉強の間に時間を見つけて吹いています。
西日本豪雨のとき一番に心配したのがサックスだったそうです。
(藤後咲智華さん) 「いい感じです」 (藤後祥一さん) 「家のひとつの復興になるもんな。これだけでも元通りになったってゆったら」
(中川楽器/中川啓 社長) 「復興したときこそ楽器の出番がやってくると思うので、今後もこういう楽器がある限りは、やり続けたいなって思います。それしかできないから」