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【特集】「二十歳になった娘へ」亡き母から届いた手紙…がん検診を呼び掛ける短大生の思い 香川

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 香川短期大学の2年生・空田華実さんは7歳の時に、がんで母親を亡くしました。その経験から若い女性ががんで亡くなることを防ぎたいと「がん検診」などの情報を発信するようになりました。

母を亡くした女子短大生 若い女性たちにがん検診の啓発を

 空田華実さんは、香川短期大学の2年生です。空田さんは小学2年生、7歳の時に母・福子さんを卵巣がんで亡くしました。福子さんは32歳でした。

(がんで母親を亡くした/空田華実さん[20])
「当時母に(がんが)見つかった時には多分もう手遅れだったと思うんですよ。もし自分が母になって1歳・2歳の子を持ってそういうことが発覚したらっていうのを想像してしまいましたね」

 今年、空田さんは同世代の女性たちにがん検診を呼び掛ける活動を始めました。

 まずは身近な人たちからということで、この日は親戚や友人らを集めて一緒に「かるた」で遊びました。このかるたは、がん健診について興味を持ってもらおうと、空田さんの叔母が作ったものです。

(かるたに参加した高校生は―)
「学校とかでも(がん検診の)話とかあんまりしなくて。きょう改めて詳しく知った感じです」
「がん検診のことは、全く考えないです。目の前のことが優先になるので、そこまで頭が回らない。検診とかはちゃんとやっておきたいなと思いました」

 9月5日、空田さんたちはがんに関する疑問を尋ねるために高松市の産婦人科を訪れました。

(あさひクリニック/西口園恵 医師)
「先進国で子宮頸がんが減ってないのは日本ぐらいでしょうね。悲しい話なのですが。副反応の話が出て、一気にワクチンを打つ方が少なくなってしまって。皆さんの世代っていうのは、ワクチンについての情報がほとんどなかった世代になっているんじゃないかな」

 子宮頸がんは20代から30代の若い女性に多いがんです。日本では毎年1万人ほどが子宮頸がんになり、約2800人が死亡しています。

 日本では2013年に子宮頸がんワクチンが定期接種の対象になりましたが、接種後に頭痛など体の不調を訴える声が相次ぎ、厚生労働省は積極的な呼び掛けを中止しました。

 空田さんは子宮頸がんについて今年、アンケート調査を実施。165人から回答を得た結果、90%以上の人がワクチンを受けていないと答えました。

 また、「どのような病気か知っている」と答えた人は20%未満にとどまりました。

(空田華実さん)
「子宮頸がんとかワクチンのことを全く知らない世代が絶対いるんですよ。そういう世代に、私がしている啓発活動を通して知ってもらえたら」

(あさひクリニック/西口園恵 医師)
「スマホの情報が全て正しいわけではないので、取捨選択をする気持ちを持っていただきたい。正しいかどうかわからなかったときは、情報については専門家の所へお問合せをいれていただきたい」

(一緒に話を聞いた友人は―)
「自分が病気にならないためにもワクチンを受けるべきだと思いました」

二十歳になった空田さんに1通の手紙が

(みんなで―)
「♪ハッピーバースデー」

 9月28日、空田さんは二十歳になりました。そして、二十歳になったら1通の手紙を読もうと決めていました。

 差出人は13年前に卵巣がんで亡くなった母・福子さんです。

(空田さんの祖母/邦代さん)
「遺品整理をしていて、ウォールポケットの中にあった。これは開けてはいかんと思って大事においていた」

(空田さんの父/義広さん)
「華実に言わないでおこうと言って。20歳になる時に出そうって」

【空田さんの母・福子さんからの手紙】
華実ちゃん、二十歳の誕生日おめでとう。
美しくステキで立派な華実ちゃんに成長しているんでしょうね。
これからも長い人生です。謙虚な心、感謝の心、忘れないでください。
偉そうにこんなこと言っているママですがまだまだ勉強中です。
この手紙を読む頃には44歳のいい年のおばさんですね。
5カ月の華実はお昼寝中です。
二十歳の華実は何をしているのかな……25才のママより。

 まだがんが見つかる前に、生まれて間もない娘に宛てて書いた手紙。成長した娘の姿を想像したり家族の存在に感謝したりする言葉が並んでいました。

(空田華実さん)
「久しぶりに(母に)会えた感じがして。側にはおらんけど、ずっと居てくれていると思いました」

(空田さんの祖父/利一さん)
「親になりかけているところを一生懸命娘に伝えようとしているところがいいなあと思った」

(空田さんの父/義広さん)
「感謝の気持ちを持った、立派な大人になってもらいたいです」

 娘の成長を願いながらその姿を見ることができなかった母親。空田さんは同じようなケースが少しでも減るように、若い人たちに向けて「がん検診」に関する情報発信を続けるつもりです。

(空田華実さん)
「こういう手紙を母からもらって、後押しされたじゃないけど、そういう活動も応援してくれるだろうな」

 来年春、短大を卒業する空田さんには夢があります。

(空田華実さん)
「ダンスの先生になりたいんです。体を動かすことの楽しさを教えたくて。自分のスタジオを持ったりとか。(通う子どもの)母親や祖父母が、そこで孫とか娘とかを観ながらホッとできるカフェを作りたくて。子育て支援みたいなことができたら」

 厚生労働省によると、HPVワクチンの安全性や有効性については、各自治体から接種対象者に送付されたリーフレットで情報を得ることができます。

 対象者本人が、子宮頸がんやHPVワクチンについてよく理解した上で、接種について検討・判断して、希望する方はワクチン接種を受けることができます。皆さんも接種や検診について考えてみてください。

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