昭和初期にわずか12年だけ運行していた塩江温泉鉄道。高松市の仏生山と塩江を結ぶ路線を往復していたのは、ガソリンを燃料に走る「ガソリンカー」でした。 廃線とともに姿を消し、「幻の車両」となっていたガソリンカーの設計図が先日、埼玉県で見つかりました。発見したのは、香川高専の学生です。
ガソリンカーは昭和のはじめ、1929年から1941年にかけて、温泉街としてにぎわっていた塩江へ多くの人を運びました。 戦争の影響で物資や燃料が不足し、廃線となったあとは、車体も線路も取り払われました。 その姿は今、白黒の画像でしか見ることができません。
しかし先日、ガソリンカーに関する新発見がありました。 長い間、所在が分からなくなっていたガソリンカーの設計図が埼玉県の鉄道博物館で見つかったのです。
車体を上、横、正面から見た三面図のほか、エンジンや運転台、車輪などの詳しい設計図が30枚近く保管されていました。 発見したのは、香川高専2年生の前田和樹さん。授業の一環として、塩江温泉鉄道のガソリンカーを模型で復元するプロジェクトに取り組んでいます。
(香川高専2年生/前田和樹さん) 「(写真を)持って帰ってきて、それを(製造元の)川崎重工に確認とったら間違いないということで発見して、それをもとに、今進めている状態です。(設計図を見つけたときは)うれしかったです」
これまでは、写真だけを頼りに想像を膨らませて、復元用の図面を作成していました。 設計図が見つかったことで、ガソリンカーの部品の形やサイズ、仕組みなどが詳しく分かり、より精巧な模型を作る手がかりになります。
前田さんたちは、年内にガソリンカーの外観を3Dプリンターで復元することにしています。