消費税が8%から10%に上がって1カ月です。私たちの生活に変化はあったのでしょうか。
政府は、消費が落ち込まないように、クレジットカードなどで支払うと最大で5パーセントのポイント還元が受けられるキャッシュレス決済の制度を導入しました。
キャッシュレス決済の一つ「PayPay」の登録利用者数ですが、この1年足らずでどんどん増えていて、10月1日には1500万人を突破しました。特に増税前の55日間で500万人が登録し、増税直前に大幅に利用者を伸ばしました。
キャッシュレス決済の普及が進む一方で、まだ加盟していないお店は焦りを見せています。
岡山市北区表町にある長谷川楽器店は、まだキャッシュレス決済のポイント還元制度を導入していません。
(長谷川楽器店/長谷川誠 代表) 「PayPayとかそういうのは、飲食のお店で使われるケースが多いだろうということもあって、使っていただけない状態です」
しかし増税後、還元制度を使いたいというお客さんが、予想以上に多かったといいます。
(長谷川誠 代表) 「こちらが準備不足にもかかわらず、それでも結構ですというお客さんがいらっしゃる。キャッシュレスに時代は進んでいくだろうし、それには対応していかないといけない」
長谷川楽器店では、スマホ決済でポイント還元制度が使えるよう国に申請し、年内には加盟店になる予定です。
ポイントが受けられる岡山県のお店や加盟店は、10月12日現在、全体の3割にとどまっています。キャッシュレスの利用者の増加を受けて、今後増えるかもしれません。
一方で、消費税が上がるたびに経営が厳しくなる業界があります。それは、ゲームセンターです。ゲームセンター特有の事情が、経営を圧迫しています。
(松木梨菜リポート) 「こうしたゲーム機は、ほとんどが1プレイ100円からです。増税分はお店側が負担しているんです」
100円単位で手軽に遊ぶことができるゲームセンターには、消費増税を料金に反映できない悩みがあります。
(アミパラ岡山店/岩田紀彦 店長) 「売上が昨年と同じでも、内税の分、増税が2%上がった分、利益から削られる。採算性は、一時期と比べると良くない」
より多くのお客さんに来てもらおうと、アミパラ岡山店では大型ゲーム機を導入しました。
(岩田紀彦 店長) 「設備投資は続けていかないと。これはいけるって見極めて、入れていくしかないですね」
ここ20年のゲームセンターを経営する会社の倒産件数は、消費税が5%から8%に引き上げられた2014年から翌年にかけて急増しています。今年は10月から10%に増税しましたが、11件が倒産しています。
帝国データバンクの飯島大介さんは、今回の増税がゲームセンター経営の大きな打撃になったと指摘します。
(帝国データバンク 情報統括課/飯島大介さん) 「100円で営業するようなところは、今でも電気代や消費税(負担)で、利益としてはいっぱいいっぱいの状況になっている。消費増税を見込んで、今のうちに事業をたたんでしまおうと考えていたゲームセンターは多いのかなと思いますね」
ゲームセンターは、身近な娯楽としての存在感をどう打ち出していくのか。増税から1カ月、企業側は消費を落ち込ませないようにと新たな対策を打っているので、競争が激しくなりそうです。