香川県議会が3月18日に可決した「ネット・ゲーム依存症対策条例」のニュースです。
条例案について県民や事業者から意見を聞く「パブリックコメント」の原本を閲覧した議員がKSBの取材に応じ、2000を超えるとされた「賛成」意見の大半が同じような書式のものだったと証言しました。
(条例案検討委の委員を務めた/竹本敏信 県議) 「ただ単に『賛成です』『賛同します』次から次にそれが同じものが出てくる。感覚ですけど、7割くらいは(同じものが)あったんじゃないですかね」
香川県議会で条例案の検討委員会の委員を務めた竹本敏信議員は3月19日、パブリックコメントの「原本」を閲覧しました。
提出者の氏名や住所は黒塗りでしたが、「賛成します」などの文字はパソコンで書かれ、名前を記入する欄なども同じ様式のものが多かったということです。
(条例案検討委の委員を務めた/竹本敏信 県議) 「証拠があるわけではないので、分かりませんけど、誰かが働きかけて名前を貸してくれとか、そんなことが考えられる」
条例は、インターネットやゲームの依存症から子どもを守るための対策を定めたもので、3月18日、県議会が賛成多数で可決しました。
「パブリックコメント」には県民と事業者からあわせて2686件の意見が寄せられましたが、公開されたのは「概要版」のみ。表紙には、提出者の84パーセントにあたる2269件が「賛成」だとする数字を載せていました。
これに対し、県議会の3つの会派が検討委の大山委員長に意見の「原本」を公開するよう申し入れましたが、閲覧が認められたのは、採決の後。
しかも、議会事務局の職員は大山委員長の「指示」だとして、閲覧する委員に対し、「情報が漏洩した場合、連帯責任となる」という旨の文書に署名するよう求めたため多くの委員が反発し、申し入れした議員で閲覧したのは竹本議員だけだったそうです。
(条例案検討委の委員を務めた/竹本敏信 県議) 「仮に法的根拠がなくても、連帯責任と言われたときに他の議員には一切迷惑がかからないということで、署名をして閲覧することを決断しました」
県議会は今回の意見募集で「回答様式は任意」としていて「賛否」も聞いてはいませんでした。
(行政運営に詳しい 香川大学法学部/三野靖 教授) 「(パブリックコメントで)今回のように2700件近く、これはありえない件数です。たぶん全国的にもこんな件数はない。仮にいわゆる動員票的なものが出てきたとしても、それ自体が何か、法的に違法であるとか、手続きとして瑕疵(かし)があるとまでは言い難いと思いますけど、でもそうなると、パブリックコメント自体の趣旨と言いますか、やったことの意味って何だったのかってことが問われますよね」
(条例案検討委の委員を務めた/竹本敏信 県議) 「速やかに議員全員にこの開示をする、そしてご意見をいただく、もう条例は通っていますけど、まずそこをすべきだと。それが議会制民主主義のありかたではないかと思っています」
KSBの記者もパブリックコメントの原本を情報公開請求していますが「文書が大量で、慎重な審査を要する」として期間を延長する通知が届いています。