香川県のネット・ゲーム依存症対策条例をめぐり、制定過程に疑問の声があがっています。この条例の成立を主導した大山一郎議長が30日の臨時議会で退任しました。
香川県議会では慣例により、議長は1年ごとに交代しています。 大山議長は退任のあいさつで、自らが中心となって成立させた「ゲーム依存症対策条例」への思いを語りました。
(香川県議会/大山一郎 議長[退任のあいさつ]) 「家庭や社会全体が一丸となり、未来を担う大切な子どもたちがネット社会とうまく共存し、健やかに成長できる仕組み作りの契機となりますことを心から念願をいたしております」
大山前議長が委員長を務めた議会の条例検討委員会は、県民や事業者から意見を募る「パブリックコメント」を実施。寄せられた約2700件の意見のうち8割以上が賛成だったと公表していました。
(条例検討委員会/大山一郎 委員長[3月12日]) 「これは香川県民の皆様方のパブリックコメントですので、子どもたちの状況を一番見ておいでになる親御さん、家族の皆様方の意見が反映されたのではないのかなと考えております」
しかし、情報公開請求で入手した原本を見ると、賛成意見にはよく似た文言が多く使われていて、同一のパソコンから連続して投稿された痕跡もありました。
条例案の採決で反対や棄権した議会の3つの会派は4月27日、条例制定過程の問題点を洗い出す検証委員会の設置を大山議長に申し入れましたが、4月30日までに何の回答もありませんでした。
KSBもたびたび取材を申し込みましたが応じてもらえず、本会議終了後に直撃しようと議場の外で待ち構えていましたが、われわれのカメラを避けるように立ち去りました。
(記者) 「議会の終了後に、大山前議長に直接取材をしようとしたんですが足早に立ち去り、こちらの駐車場から自分の車で帰ったということで直接のインタビューは叶いませんでした」
(自民党議員会/辻村修 会長) 「(Q.申し入れに対し全く返答もないまま議長を退任されたが?)そりゃもう回答してほしかった。不誠実だと思いますけどね」
新たに就任した西川昭吾議長は、大山前議長と同じ自民党県政会所属です。就任の記者会見で、3会派が求めた検証委員会については「立ち上げる予定はない」と述べました。
(香川県議会/西川昭吾 新議長) 「(検討委員会の)議決の時は、意見が煮詰まっておりましたし、可決された条例でありますので、これ以上の議論は必要ないと認識しております」