高松市のアトリエでちょっと変わった展覧会が開かれています。この展覧会では作品を鑑賞する空間には自分以外、誰もいません。 1人きりで美術を楽しんでもらおうという展覧会が生まれた背景には、新型コロナウイルスの影響がありました。
(記者リポート) 「このアトリエに一歩足を踏み入れると、自分と作品だけの世界が広がります」
「不在通知」と題して開かれている展覧会。 アトリエの中には作家も、管理人も、ほかの鑑賞者もいません。製作道具や材料などが点在する秘密基地のような空間に作品が展示されています。
(美術作家/カミイケタクヤさん) 「こちらの作品はいろんな素材のものを貼ってはがしてということを繰り返したり、燃やしたり燃やした上から色を塗ってまた貼ってっていうのをどんどん繰り返して3年くらいかけて作っています」
企画したのは香川県在住の美術作家、カミイケタクヤさんです。 カミイケさんは舞台美術も手掛けていますが、新型コロナウイルスの影響で携わるはずだった舞台が延期になりました。
(美術作家/カミイケタクヤさん) 「空いた時間で僕は何がしたいか、何ができるかっていうのを考えていきたいなっていうのはありますね。また(舞台や活動が)再開するであろうときのために、自分の状況とか環境で何か考えていけたらきっと新しい面白いことができるんじゃないかなって」
本来、管理者がいない中での展示は作品にとっていい環境ではありません。 それでも、新型コロナウイルスの影響で外出自粛や人と人が密にならないように呼び掛けられているこの時期だからこそ、たった1人の空間を演出しようと考えました。
(美術作家/カミイケタクヤさん) 「前から僕は、展覧会場に行って作家さんがいたり、監視員さんがいたりっていう状態で、リラックスして作品が見られないことがちょっと窮屈に感じていたので、普段ではできない1人で誰かのアトリエでゆっくり過ごすっていう時間を過ごしてもらえれば。本を読んでもらっても、音楽を聴いてもらっても、じっと作品を見てもらってもいいと思っています」
展覧会「不在通知」は、予約をすれば無料でアトリエに入ることができます。 1人の時間を選ぶことが増えた今だからこそ、何にも縛られず、作家が、どのような思いで作品に向きあったのか思いをはせてみてはいかがでしょうか。 (※予約方法はカミイケタクヤさんのホームページに掲載しています)