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テーマは「同調圧力」と「空気」 KSB製作のドキュメンタリー映画「カウラは忘れない」が7月に公開 岡山・香川

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 KSB製作のドキュメンタリー映画「カウラは忘れない」が、全国公開に先駆けて7月2日から岡山市で先行上映されます。
 太平洋戦争中、オーストラリアの捕虜収容所で日本人捕虜が起こした脱走事件。それが「カウラ事件」です。この映画の大きなテーマは「同調圧力」と「空気」です。

Q.あなたは「空気」を読みますか?

(高校3年生は―)
「読みます。(Q.どんな時に?)どんな時でも。人とおるときは空気読みますね」

(中学2年生は―)
「読みます。一人だけ違う道を行っても結局失敗すると思うんで、合わせるの大切だと思います」

(40代の人は―)
「空気は大いに読みますね。どっちかっていうと人に合わせますね。その場の雰囲気で、大多数がこっちだろうとか、読み取って」

自分の生死が懸かった投票でも「空気を読む」時代――

 自分の生死が懸かった決定を投票で決める。そんな局面でも空気を読むことを求められた人たちがいました。
 太平洋戦争中のオーストラリア。田舎町・カウラにあった捕虜収容所には約1100人の日本人捕虜がいました。当時の日本においては「捕虜は恥」だとする考え方が支配的でした。

(カウラ事件の生存者/村上輝夫さん)
「捕虜になったら死ね、ということが軍隊ではたたき込まれとったから」

(カウラ事件の生存者/山田雅美さん)
「最終的には我々は、とにかく日本には帰れないんだと」

 この恥から逃れるため、「脱走すべきだ」と一部の捕虜が主張しました。勝算があるわけではありません。周りは延々と続く放牧地帯。

 監視塔に据えられた機関銃に対抗する武器は、野球用のバットや食事用のナイフしかありませんでした。つまり、「死ぬための脱走」です。決起するかどうか、捕虜全員が投票して決めることになりました。

(カウラ事件の生存者/山田雅美さん)
「まあ雰囲気としては丸(賛成)にせにゃいけんという気持ちがあった」

(カウラ事件の生存者/今井祐之介さん)
「嫌だと言えないんだな、ああいう雰囲気になると」

 投票の結果、賛成が8割を超えました。投票に際して、「空気」を読んでしまったのです。

(劇作家/坂手洋二さん)
「自分がもしそこに身を置かれたらどうだろうと。俳優もお客さんも一緒に体験しているような、そういう作り方が適しているんじゃないかと思ったんですね」

 事件が私たちに問いかける教訓とは何でしょうか?

(「カウラは忘れない」監督/満田康弘)
「カウラ事件は決して遠い過去の出来事ではない。僕はこの映画を、今と未来を生きる人たちに向けて作ったつもりです」

 映画「カウラは忘れない」は岡山市のシネマ・クレールで7月2日から、高松市のソレイユ・2では7月9日から上映されます。上映後のトークも予定されています。

 本作にも登場する坂手洋二さんや新しい教育に取り組む野村泰介さん、映画作家の想田和弘さんがゲストとして登壇します。

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