Park KSBアプリに皆さんから寄せられた疑問をもとにお伝えする「みんなのハテナ」。今回は「揚げ物」に関するハテナです。
「なんで揚げ物はあんなにおいしいの?」(岡山市 もも 35歳)
高松市にある「お肉屋さんの三ツ輪」。店頭では唐揚げやフライドポテトなどを販売しています。約40年、「揚げ物」を作っている店主に話を聞いてみると……。
(お肉屋さんの三ツ輪 店主/岩部透さん)
Q.なんで揚げ物っておいしいんですか?
「んーーー、やっぱり手短にすぐ食べられるところがおいしいのと。食感いうか、醍醐味いうか、あれ(食感)が一番やと思う」
なぜ揚げ物をおいしく感じるのか。香川県唯一の調理師専門学校「キッス調理技術専門学校」でも聞いてみました。
(キッス調理技術専門学校/今福祝太 教授)
「唐揚げとか天ぷらとか、全部に共通していることって、サクサクしていること、食感ですかね、やっぱり。クリスピーだからおいしい。なんでクリスピーだとおいしく感じるかは、新鮮さを脳みそが感じやすいのかなと」
今福さんは、衣を付けて高温の油で揚げ水分を飛ばす……これによって生まれるパリパリやサクサクなどの「揚げ物」独特の食感が、揚げ物をおいしく感じる一番の要素だと考えています。
(キッス調理技術専門学校/今福祝太 教授)
「例えば、野菜とかシャキシャキしてるじゃないですか、新鮮なものの方が。おそらく昔の人間が、新鮮な物をかぎ分けるというか、食べ分けるときに、食感である程度、シャキシャキしている方が栄養価が高くて、脳に栄養がいって、いいことがあるぞとなっているから、いまだにクリスピーなものを食べると、『あ、おいしい、いいことがある、栄養がある』と、すごいポジティブに脳みそに訴えかけるんじゃないのかなと思います。本能ですね、もう」
さらに食感以外にも……。
(キッス調理技術専門学校/今福祝太 教授)
「やっぱり油脂分ですよね、脂が多い。昔ってそんなに自由に摂取できなかったはずなんですよね、そんなに多分、砂糖とか脂とか、そこら辺にはないわけですから。その中でやっぱり『ある時にとっておかなきゃいけない』とか、『食べられるときに食べておこう』と、『脂肪に対する欲求』って、人間って強いように多分できているんじゃないのかなと」
また、揚げ物特有の色もおいしさを感じる一つの理由と考えられています。
(キッス調理技術専門学校/今福祝太 教授)
「茶色い物っていうのは、メイラード反応という状態なんですけど、火を入れることによって、人間は食べ物を短時間で、より多く栄養を脳に送れるようになったという経験があるじゃないですか、歴史の中で。火を入れたときの経験が、何十万年も前だと思うんですけど、残ってるんだと」
メイラード反応は揚げ物やパン、クッキーなどが加熱することによって色付く現象のことです。つまり、揚げ物をおいしく感じるのは「食感」「脂肪分」「色」など、いろいろな要素が合わさってのもの……ということです。
ちなみに、家でおいしく揚げるために大切なことを聞いてみると……。
(キッス調理技術専門学校/五反田雅史 教授)
「揚げ物自体、少ない油で揚げてしまうと、揚げムラとか、早く焦げてきたりとか、なかなか火が思うように入らないとかありますので、やっぱり油っていうのは最低限、食材の倍くらいは、量を入れていただいて、さいばしで食材を触ってもらった時に、火が通っていると熱が伝導しますので、おはしがプルプルとちょっと震えるように感じます」
(キッス調理技術専門学校/今福祝太 教授)
「唐揚げって最強なんですよ。準備段階の油熱している匂いをかいで、おいしそうとは思わない。そこに唐揚げが入っていくと、しょうゆの焦げた匂いとか、小麦粉が茶色く色づいていく匂いとか、色々な匂いがするので。あれはそれはおいしいですよ、もうおいしいもの全部入っている。もう唐揚げなんか揚げられたら、ほかのものは(笑)」