交通事故で休学した香川大学の学生が、一緒に卒業するはずだった同級生へのはなむけとして映画館を借り切ってアニメ映画の上映会を開きました。目標に掲げたのは「劇場を満員にすること」です。
3月24日に行われた香川大学の卒業式。6つの学部で合わせて1198人が新たな一歩を踏み出しました。
友人たちと写真を撮るなど別れを惜しむ卒業生たち。そんな中…
この日の夜に行われる映画の上映会のチラシを配っていたのは教育学部4年の河村奏音さん(22)です。河村さんは2023年9月に交通事故に遭い、療養のため休学。
先に見送ることになった同級生への卒業プレゼントとして映画館を借り切っての上映会を企画したのです。
(香川大学 教育学部4年/河村奏音さん)
「卒業して例えば何年か後に会ったときに『卒業式の後に映画館行って、あの映画見たよね』みたいな話をみんなでしてくれたら、すごいうれしいなって思ってます」
元々は、大好きなアニメ映画『千年女優』を多くの人に見てもらいたいと友人と話していたのがきっかけ。単に卒業生が集まって映画を見るだけではなく、SNSやチラシで一般の人にも来場を呼び掛け、「劇場を満員にする」という大きな目標を掲げていました。
そして迎えた上映会……。会場となる高松市のソレイユ・2の前には長い行列ができていました。
(香川大学 教育学部4年/河村奏音さん)
「すごいたくさんの人に見にきていただいて本当にうれしいです。ありがとうございます」
劇場内は、立ち見も含め約120人の超満員となりました。
今敏監督と音楽・平沢進さんがタッグを組んだ映画『千年女優』は、現実と映画の世界を交錯させながら1人の男性を追い続けた女優の姿を描くストーリー。
主人公のひたむきさと、満員の上映会を実現させた河村さんの姿も重なり、旅立つ友人たちへの最高のエールとなったようです。
(映画を鑑賞した卒業生はー)
「(大学で)こんな行動力がある友達に会えたことがうれしいです」
「最高の思い出になったと思います。これを糧に社会人としても頑張ろうと思いました」
(香川大学 教育学部4年/河村奏音さん)
「ずっと前から映画館を借りて上映したいというのをいろんな友達に言ってきて、実現したんだって分かって、みんな卒業してくれたのが自分の中ではうれしかったです。寂しさを感じる暇がないくらい(上映会準備で)めちゃくちゃドタバタしていて、たぶんこれが終わった後にすごく寂しくなるんだろうなと思います」