高松市にある知的障害者の入所施設が利用者9人の契約を解除した問題です。高松地方裁判所は、利用の継続を求める利用者と保護者の仮処分の申し立てを却下しました。
仮処分を申し立てていたのは、高松市三谷町にある知的障害者の入所施設「ウインドヒル」に契約を解除された利用者とその保護者、合わせて9家族です。
この施設は、自閉症と診断された重度の知的障害者を中心に47人が利用していましたが、2023年の6月から7月にかけて職員全体の約3割に当たる11人が退職。施設は「利用者の安全を確保できない」として、2023年9月、利用者9人を指名して契約を解除しました。
利用者や保護者は、「退所すれば全面的な介助が必要になるが現実的には不可能」「選ばれた利用者の多くが比較的重度とされる施錠が必要なユニットに入所していて、契約解除は不合理で恣意的であり無効だ」などと主張し、利用の継続と補償を求めていました。
一方、施設側は「契約解除ありきで対応したのではなく、サービス体制の変更も模索したが理解が得られずやむを得ず契約解除を行った」としていました。
高松地裁の山田雅秋裁判官は、「現在の施設の職員の状況では契約解除した9人にサービスを継続することは難しい」として27日付けで申し立てを却下しました。その上で「契約を解除された利用者と保護者の状況を容認するものではない」とし、契約解除の有効性や適法性については「通常の裁判の中で慎重に審理されるべき」として判断を示しませんでした。
さらに、利用者と保護者について「一日も早く、責務を有する福祉行政において迅速な対応が図られることを切に願う」としました。
仮処分を申し立てた9家族は、即時抗告するか訴訟を提起するかを検討するとしています。