高松市にある知的障害者の入所施設が職員の大量退職を理由に利用者9人の契約を解除した問題です。市は、香川県知的障害者福祉協会に施設への職員派遣を依頼しましたが、「職員を派遣できる施設はない」と回答があったことが分かりました。
高松市三谷町にある知的障害者の入所施設「ウインドヒル」は、2023年9月までは自閉症と診断された重度の知的障害者を中心に47人が利用していましたが、2023年の6月から7月にかけて職員全体の約3割に当たる11人が退職。施設は「利用者の安全を確保できない」として定員を36人に変更し、2023年9月、利用者9人を指名して契約を解除しました。
契約を解除された利用者と保護者は利用の継続と補償を求めて高松地裁に「仮処分」を申し立てましたが、24年3月27日、却下されました。
高松地裁は、決定の中で「一日も早く、責務を有する福祉行政において、迅速な対応が図られることを切に願う」としました。
これを受けて、運営法人を指導監督する高松市の大西秀人市長は、香川県知的障害者福祉協会に対し、4月4日、施設への職員の派遣を依頼したと明らかにしました。
しかし、11日に、協会から「他の施設の職員に余裕がなく、職員を派遣できる施設はなかった」と回答があったということです。
高松市障がい福祉課は「県内の介護人材が不足しているというのを改めて認識した。今は、新規開設を予定しているグループホームに契約解除された利用者が受け入れてもらえるよう働きかけている。保護者に対しては、引き続き情報提供に努める」とコメントしています。