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【特集】障害者支援施設が利用者の4分の1近くの契約解除を通知 背景には職員の大量退職 高松市

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 高松市の障害者支援施設が「人員不足を理由に利用者の4分の1近い11人の契約を解除せざるを得ない」と、8月、保護者に通知しました。この施設で一体何が起きているのでしょうか。

 高松市三谷町にある知的障害者の支援施設・ウインドヒル。社会福祉法人ポム・ド・パンが運営していて、自閉症と診断された重度や最重度の知的障害者を中心に現在47人が利用しています。

 中には、自分や他人を傷つけるといった行動が頻繁に現れる「強度行動障害」がある人もいて、家庭や地域での生活が難しいとして施設の利用を希望する保護者が多いということです。

 8月7日、この施設の利用者の保護者の代表が集まりました。

 8月、保護者のもとに施設からある文書が届きました。文書には「人員不足のため、利用者47人のうち11人の契約を解除せざるを得ない」などと書かれていました。

 文書は8月2日付で、「9日の正午まで他の福祉サービスに移るという申し出を募り、申し出が11人に満たなければ施設側で人選し、9日中に解除通知を出す」としています。

(保護者は―)
「飛び出しもする、左右確認もしないで道路を歩く、命の保障もできない、自分も見てやれない。それで入所施設を選んだんですが、こんなふうに危うくなるとは……」
「こんなことを簡単に決めて、われわれに紙切れ一枚で通知して、申し出と。この数日で決まりますか?」

 「ウインドヒル」は、親が亡くなった後も自閉症の人たちが安心して暮らせる場所を作ろうと、保護者らが資金を出し合い2004年に開設しました。

 香川県に知的障害者の入所施設は17ありますが、自閉症に特化した施設はウインドヒルだけです。自閉症の人たちは環境の変化に適応するのが得意ではなく、施設を移ることも簡単ではありません。

(保護者は―)
「やっと終のすみかができたな、これで子どもは安心だなというのが一番あった。これからどうしたらいいんだろう」

 今回の文書が出された背景には職員の大量退職があります。

 ウインドヒル労働組合によると、2023年春の時点でウインドヒルの職員は30人ほどいました。しかし6月に2人、7月には10人が退職しました。

 この大量退職などを受けて保護者会は、署名を集めて施設側に説明会を開くよう求めています。しかし、施設側は文書で通知するのみで説明会は開いていません。

 職員の退職について、ウインドヒルを運営する社会福祉法人ポム・ド・パンの松原廣理事長は、「一身上の都合で辞められているので答えることはない」としています。

 一方、ウインドヒル労働組合の聞き取りに対して、退職したうち3人は、幹部からのパワハラを退職理由の一つにあげています。

 KSBの取材に対して松原理事長は「パワハラがあったとは思っていない」と回答しています。

 「ウインドヒル」を指導監督する高松市は……。

(高松市障がい福祉課/蓮井秀樹 課長)
「一般的な話をさせていただいたら、一時期に大量に辞められるというのは、一種異様な、異常な状況であると感じております。どうしても行政ですので、法律であるとか基準であるとか、そういったところに従って動かざるを得ないところがありまして。現状うちが取りうる範囲内で対応している」

 その上で、今回の「利用者11人の契約解除」については、「職員の新規募集がうまくいっていない中で、利用者の安全性を考えると容認せざるを得ない」としつつ「受け皿を用意することなど指導していく」とコメントしました。

 高松市によると、ウインドヒルを巡っては2020年以降内部告発などが相次いでいます。

 高松市は、運営法人に対して無期限の特別監査を行っていて、2022年5月までに関係者のヒアリングを約50回、口頭での指摘を約20回、文書での指摘を5回行っています。

 それを受けて、法人は2022年8月に第三者調査委員会を設置しました。ここではパワハラの有無についても調べているということです。

 ウインドヒルを運営する社会福祉法人ポム・ド・パンの松原廣理事長は、今後について「利用者の安全性を確保することを第一に考えて対策をとっていく」とコメントしています。

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