こっけいな掛け合いや言い合いなどをして客を楽しませる「漫才師」。その日本一を決める舞台M-1グランプリに異色のコンビが出場しました。
高松市にある中高一貫校、大手前高松。放課後の様子を覗いてみると……。
吉嶋さん「先生もせっかくなんで流行のメイクやってみません?」
邑地先生「めっちゃ塗るやん。最近のメイクってこんな塗るんや」
吉嶋さん「ちょっと目邪魔なんで、ずらしてもらっていいですか?鼻も取ってもらって…」
邑地先生「俺ポテトヘッド違うんや」
漫才の練習をしているのは大手前高松中学校の3年生、吉嶋一葉さん。相方を務めるのはこの学校の先生、邑地秀一郎さんです。
(大手前高松中学校3年/吉嶋一葉さん)
「私から先生に(お笑いやろうと)申し込んだ」
実は…邑地さんは大学時代、お笑いサークルに所属し、さまざまな舞台を経験しています。
(大手前高松中学校3年/吉嶋一葉さん)
「弟子入りじゃないですけど、『お笑い教えてくれませんか』と。最初はびっくりしてましたね。でもすぐノリノリで」
邑地さん「やめといたほうがいいとは言いました」
そして2023年8月、「二者面談」を結成。その初の舞台が……。
(大手前高松中学校3年/吉嶋一葉さん)
「M-1グランプリです」
M-1グランプリとは、プロからアマチュアまでが集まって漫才師の日本一を決める大会です。
2人が出場したのは結成から約1週間後。「歯の妖精」をテーマにしたネタを披露しました。
1回戦突破はなりませんでしたが、MCの印象に残ったアマチュアに贈られる「ナイスアマチュア賞」を受賞しました。
(大手前高松中学校3年/吉嶋一葉さん)
「本当に奇跡だなと思っています。私はナイスアマチュア賞で満足していたんですけど、先生が『悔しい悔しい』と言っていて、先生のためにも、2024年の1回戦は絶対に通らなきゃいけないなという意気込みがあった」
そんな思いで挑んだ2年目。2024年の1回戦では、テンポのいい掛け合いを見せ、見事2回戦進出を決めました。
取材した日は、4日後に控える2回戦に向けての最終調整。今回のネタのテーマは「分からないように校則を破っておしゃれをしたい」。
邑地さんが考えたもので、2025年から高校生になる吉嶋さんならではのネタです。
(邑地秀一郎 教諭)
「『アコーディオンやないか』の後、『なんで音鳴んねん』って突っ込む前に『違いますか?』って来たんやけど」
そう邑地さんが指摘するのは「スカートを短くしたい」というこのシーン。
吉嶋さん「こういうふうに徐々に折り目を付けていって」
邑地先生「縦に折るの!?横に折って短くするんじゃなくて」
吉嶋さん「よりアコーディオンみたいに」
邑地先生「めっちゃ折るやん。プリーツだらけになるで」
吉嶋さん「ファー!」
邑地先生「アコーディオンでないか」
吉嶋さん「違いますか?」
邑地先生「いや違うわ」
(邑地秀一郎 教諭)
「笑いがちょっと収まった時、やや収まった時に次いくと、ちょっと膨らんでいくから。『アコーディオンやろ、音鳴んのおかしいやろ』の後にちょっと間がほしい」
2回戦からは2023年にシード権を獲得したコンビも加わり、よりレベルが上がります。笑いを呼び込むためにも、間を作ることは大切です。
(邑地秀一郎 教諭)
「ギリギリまで調整していきます」
(大手前高松中学校3年/吉嶋一葉さん)
「楽しみです!」
そして…2回戦の結果は……。
(大手前高松中学校3年/吉嶋一葉さん)
「今回は、2回戦で敗退という形になってしまいました。結構うける音とかも来てたので、『いけるかな?』とは思っていた部分があったんですけどやっぱり悔しかったです」
(母・寛美さん)
「『いけいけ』というような感じで、それに応えるような感じで、娘も堂々と舞台に立てていて、安心しました」
(大手前高松中学校3年/吉嶋一葉さん)
「中高一貫なので、高1・高2・高3と3年間先生と一緒にできるかなと思ってるので、また来年、もう一度、同じ舞台で、戦えたらいいなと思っています」