国民民主党が主張する「年収103万円の壁」の見直しを巡り、立憲民主党も前向きな姿勢を示しました。その狙いとは。政治部記者が解説します。
■「年収103万円の壁」見直し
年収が103万円を超えると所得税が課税される、いわゆる「103万円の壁」の見直しなどを巡り、自民党と国民民主党は今週中に政策協議を始める方針で一致しました。
現在の103万円を178万円に引き上げたい国民民主党は、来年度から実現するための工夫が必要だとしています。
国民民主党 玉木代表 「年末の税制改正に入れると実際は来年(度)からということなんですけども、例えば補正(予算)で対応できる話と、本格的に税制改正で実現するものと場合によっては組み合わせてもいいなと。早く国民の皆さんに実感を感じていただけるような工夫も必要かなと思っていますので、この点についてもしっかり協議をして参りたいと思っています」
11日に石破総理大臣と党首会談を行い、早期の103万円の壁の引き上げを求める考えの玉木代表。5日は立憲民主党の野田代表と会談。野田代表は103万円の壁の見直しについて協力する考えを伝えました。
立憲民主党 野田代表 「あの壁を突破していくこと、その方向性については十分、理解しているし、そのことについては敬意を表するという意味で、できることは何でもしますと」
103万円の壁の見直しについて立憲民主党から協力を得た玉木代表ですが、野田代表にこう釘を刺しました。
国民民主党 玉木代表 「我が党の政策に関してネット上などで反対意見を熱心に発信されている方がいるので、もしご協力いただけるということであれば、そういった党内の意思の統一も図っていただきたいと」
旧民主党の流れをくむ立憲民主党と国民民主党ですが、連携が進んでいません。
■立憲が国民に接近 狙いは?
政治部(野党キャップ)村上祐子記者 「立憲としてはキャスティングボートを握っている国民民主の看板政策を受け入れることで、何とか野党で結集して与党と対峙(たいじ)したい狙いがあります。今回の衆院選では立憲と国民の候補者が競合した選挙区もあり、政党規模の小さい国民民主側はそのことを言わば根に持っています。立憲としては『103万円の壁』に前向きな姿勢を示すことで信頼関係を構築していきたい考えです。(国民民主は)今回の選挙で裏金問題を批判し『反自民』の票を一定数、得ていることから、党内には与党に接近しているとみられることへの警戒感もあります。国民民主はあくまでも政策本位で与党とも野党とも協議すると主張していて、野党とは政治改革で結束し、足下をすくわれないようケース・バイ・ケースで対応する考えです」
野田・玉木会談では年内に政治改革の決着をつけることでも一致。
会談の最後には野田代表が11日に召集される特別国会で行われる総理指名選挙で「野田佳彦」と書いてほしいとお願いしたということです。
立憲民主党 野田代表 「『ご検討を』と最後に申し添えたと」 「(Q.その反応は?)『はぁ…』」
総理指名選挙で国民民主党は代表の「玉木雄一郎」と書く方針で現状、自民党の石破総裁が総理大臣に指名される見通しです。